「天空のポピー」 まだまだ見ごろ

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 埼玉県皆野町東秩父村にまたがる高原の斜面一帯に、赤やピンクのポピーが咲き誇っている=写真。

 標高500メートルの県の牧草地約3ヘクタールに昨年秋、ポピーの種をまいた。生育の初期に、雑草に負けた区域があり、2月に一部まき直した。このため見ごろが例年より長く続いているという。

 斜面を埋めるポピーの花の上に空が広がり、あるいは花の下に人里を見渡せることから「天空のポピー」と名付け、両町村が実行委員会をつくって観光客を呼び込んでいる。今年の祭り期間は5月20日から6月9日まで。

 6月6日は青空が広がり、全部で1千万本あるという色鮮やかな花園を引き立てた。真夏並みの暑さのなか、大勢の観光客が訪れ、気に入った撮影ポイントでポーズをとったり、美しい花のクローズアップを狙ったりしていた。

 7日から最終日までは指定された区域で1人10本まで摘み取りができる。(下の写真も「天空のポピー」)
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古建築の風情にひたる 横浜・三渓園

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 西東京市郷土文化会の6月例会が4日、横浜市中区の三渓園=写真=と馬の博物館であり、27人が参加した。

 貸し切りバスにエンジン系統とみられるトラブルが発生し、代替バスに乗り換えるハプニングがあって三渓園到着は約1時間遅れ。

 それでも園内ガイドのボランティアのご厚意で1時間、古建築を移築した内苑をじっくり見学することができた。

 三渓園は実業家・原三渓が造った日本庭園で、国の名勝に指定されている。外苑とプライベートな庭である内苑から成り、内苑には紀州徳川家の初代藩主が建てた別荘を移築した「臨春閣(りんしゅんかく)」を中心に、京都や鎌倉などから集められた歴史的建造物が自然と調和して配置されている。

 臨春閣は、老朽化した檜皮(ひわだ)と杮(こけら)の屋根をふき替えるなどの大規模修理が今年から30年ぶりに始まっており、桂離宮に似せた雁行(がんこう)形に連なる3棟のうち2棟に工事用の覆いがかかっていた。

 開放された第三屋では欄間に本物の笙(しょう)がはめ込まれているのが見え、月見の宴では遠くの三重塔の横に出る月、池の水面に移る月、杯に映る月と「三つの月」を楽しめる設計になっていたと、三渓の遊び心が説明された。

 内部を公開していない楼閣や茶室などの建物については写真で襖絵(ふすまえ)や古材の由緒などを解説したり、パンフレットにはない敷石やちょうず鉢などの石造物を説明してくれたりと、サービス精神いっぱい。

 一方で中秋の名月をめでる「観月会」や紅葉の時期の再訪を呼びかけ、PRもぬかりなかった。

 外苑の木陰で弁当を食べ、見ごろを迎え始めたハナショウブを楽しんだ。

 馬の博物館三渓園からバスで15分ほど。学芸員からここが日本初の常設競馬場であったことの歴史的背景を聞き、大人の拳よりも大きい江戸時代の馬の腸結石の特別展示、恐竜の絶滅後に登場した馬の祖先からの進化を示す模型展示などについても説明を聞いた。

 このあと少し離れたポニーセンターで、馬房の外につながれた乗馬用のサラブレッドや北海道和種(ドサンコ)を間近に見た。センターには中央競馬天皇賞を勝った馬を含め8種11頭が飼養されている。馬の日課や感情表現、人との意思疎通など多くの質問が出ていた。
(下の写真は、ハナショウブも見ごろの三渓園、馬の進化がわかる博物館の展示)
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「ブッダになれない人はいない」 公開講座に180人

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 武蔵野大学仏教文化研究所主催の今年度の連続公開講座が6月1日、武蔵野キャンパス(西東京市新町)で始まった。

 今年度は「大乗経典の魅力を語る」を統一テーマに年内6回の開催が予定されており、1回目は田上太秀(たがみたいしゅう)駒澤大学名誉教授が「ブッダになれない人はいない―釈迦の最後のことば―」と題して話した。公開講座は聴講無料で、この日は約180人が参加した。

 涅槃経(ねはんぎょう)を学ぶことで仏教の素晴らしさを知ったという田上氏は、涅槃とは「至上の安らぎ」をいい、安らぎを「借金を完済し、借金取りに追い回されなくなった状態」と例えた。

 涅槃経では、釈迦(しゃか)は生類の中に生きていると説き、これを「仏性(ぶっしょう)」(ブッダになる可能性)と表した。仏性は形がないが、体の中にあるとされる。

 また経典は、釈迦のようなブッダになるためには、さとりを求める決意―「菩提(ぼだい)心」を起こすこと、そして、さとりへの八つの行いである「八正道(はっしょうどう)」を実行することが重要だと説いている、などと話した。

「まちの里山」歩く みどりの散策路1回目

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 西東京市西東京自然を見つめる会主催の「みどりの散策路を歩こう」が今年度も始まった=写真は下保谷森林公園の名木ミズキを見る参加者。

 1回目の5月29日は、屋敷林や田園風景が残る下保谷・北町地区の「まちの里山」コース。市民24人が参加した。

 西武池袋線保谷駅北口に午前9時半、集合。市が屋敷林のある旧家の敷地を買い上げた下保谷四丁目特別緑地保全地区(旧高橋家屋敷林)で準備運動をして、午前10時ごろ、下保谷森林公園へ向けて出発。

 途中、麦畑や花畑に目をやり、農の風景を楽しむ。無人の農産物直売所で花束を買う人もいた。

 下保谷森林公園は屋敷林のあった場所で、市内の公園では「樹種、本数とも多い」(みどり公園課)。自然を見つめる会が選んだ「市の木50選」の第1号となったミズキがここにあり、参加者たちは緑色の細かな実を付けてそびえる名木を見上げた。

 福泉寺では住職の好意で本堂に上がり、小さなひな壇に納められた市指定の文化財・木彫彩色三十番神神像を拝観することができた。

 北宮ノ脇公園では健康課職員がウオーキングの健康効果を説明し、歩くフォームや靴の選び方について助言。

 天神社境内では「50選」の2番目の名木イチョウについて説明を聞き、その太い幹に腕を回す人がいた。

 保谷駅から約2.9キロを歩き、正午前、あらやしき公園で解散した。初参加の60代の女性は「知らないことがいっぱい。次回も参加したい」と話した。

 (下の写真は屋敷林で準備体操、天神社の神木イチョウ
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見て、聞いて、再発見 上野寛永寺と上野公園


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北多摩自然環境連絡会のウオッチング活動は5月22日、東京・上野の寛永寺と上野公園であり、16人が参加。知らなかったスポットや解説を楽しんだ=写真は徳川綱吉らの霊廟の勅額門。

連絡会の事務局を担当し、東京都公園協会の市民向け学習事業で講師を務める豊福正己さん(71)が企画、案内した。

JR山手線鶯谷駅南口を午前10時すぎに出発。右手の上野公園へ向かい、突き当たりの道を右へ。江戸幕府4代将軍・徳川家綱ら3人の将軍が埋葬される第一霊廟(れいびょう)と5代将軍綱吉ら3人が眠る第二霊廟の勅額門を柵越しに見る。二つの勅額門は共に戦災を免れ、国の重要文化財

寛永寺の境内では、寛永寺への功績をたたえる了翁禅師塔碑(都旧跡)、旧本坊表門などに据えられていた鬼瓦、家綱の一周忌につるされた銅鐘(台東区有形文化財)、虫類の写生画帳を残した藩主の遺志を継いで建てられた虫塚碑(都有形文化財)などの史跡を丹念に見て回り、根本中堂は中に入って参拝した。

寛永寺の正面から出てまっすぐ進み、東京芸術大学の右に美術学部、左に音楽学部を見る通りを進む。観光バスが何台も駐車し、修学旅行の生徒ら人の姿が急に増えた。

東京音楽学校奏楽堂(重要文化財)は明治時代半ばに建設された日本初の本格的な音楽ホールで、日本唯一の空気式パイプオルガンもあるというが、建物の外観と入り口近くに鎮座する滝廉太郎銅像を見るだけ。大名屋敷表門として最も格式が高い旧池田屋敷表門は遠目に見て直進し、開山堂へ。

開山堂は寛永寺を開山した天海大僧正慈眼大師)と、天海が尊崇していた良源大僧正(慈恵大師)の二人をまつることから「両大師」とも呼ばれる。

東隣の山門は、上野戦争の時の弾痕が残る寛永寺旧本坊表門。この門から入り、左手にある明治の文豪幸田露伴の旧宅の門をくぐり、開山堂前の道を渡って大きなクスノキの木陰で弁当を広げた。

参加者から「65歳以上は無料」との情報提供があり、食後、国立科学博物館に企画展「100年前の東京と自然―プラントハンター ウィルソンの写真から―」(6月16日まで)を見た。植物学者の英国人が撮影したサクラ、イチョウのごく一部は今も残る。日本の代表的なサクラのソメイヨシノは「エドヒガンとオオシマザクラの雑種」と初めて述べたのがこの人とは知らなかった。

午後は公園を散策。野口英世像を皮切りに、大学病院の建設計画を覆し明治政府に上野の山の公園化を提言した「ボードワン博士像」、軍務で要職を務める一方で日本赤十字社の総裁を務めるなど、皇族が公務とする社会活動の礎になったといわれる小松宮彰仁親王銅像と巡る。

徳川家康・吉宗・慶喜をまつる上野東照宮では唐門、御三家の銅燈籠(とうろう)、高さ6メートルの「お化け灯籠」などについて豊福さんから説明があったが、参道を少し外れた所のモニュメントで「広島・長崎の火」が30年近く燃え続けていることは、多くの人が知らないようだった。

地震と火事で4回も首が落ち、今は顔だけがレリーフとして保存されている上野大仏、大仏復元を願って建立された仏塔パゴダ、花園稲荷神社、花園神社の旧跡とされる「穴稲荷」を経て、清水観音堂(重要文化財)へと階段を上る。観音堂の舞台に立つと、枝が輪をつくる「月の松」が目の前にあり、円の中に不忍池の弁天堂が遠望できる。

古墳時代朝鮮半島百済から渡来した学者王仁(わに)の顕彰碑、天海大僧正が没した本覚寺跡に建てられた天海僧正毛髪塔(都旧跡)、元禄のころに13歳の娘が名句を詠んだことにちなむ推定9代目ヤエベニシダレの「秋色桜(しゅうしきざくら)」にも立ち寄った。

散策の終わりは、知名度の高い彰義隊の墓、そして西郷隆盛銅像彰義隊の墓は、上野戦争で戦死した彰義隊士が荼毘(だび)に付されたが、墓石には「戦死之墓」とだけ刻まれ、隊の名はない。西郷隆盛像が建つあたりは「武蔵野台地の先っぽ」と豊福さん。武蔵野台地に住む私たちにふさわしいゴールとなった。

今回の散策では幕末の寛永寺を中心とする復元地図が参加者に配布された。東京国立博物館や中央噴水池など随所で古今の位置関係が説明され、約400年の時間を行ったり来たりする楽しみも味わわせてもらった。
(下の写真は、輪の向こうに弁天堂が見える「月の松」、上野東照宮境内のモニュメントでともる「広島・長崎の火」)
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埼玉・鴻巣 荒川河川敷のポピー見ごろ

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西東京市ウオーキング協会の5月例会は18日、埼玉県鴻巣市馬室地区の荒川河川敷に広がるポピー畑=写真=を中心に行われた。

このポピー畑は東京ドーム二つ半に相当する約 12.5ヘクタールと日本一の広さで、約3千万本が栽培されているという。例会には20人が参加した。

午前10時すぎ、JR鴻巣駅西口を出発。普通の順路ならば徒歩約30分というが、「川幅日本一」の道路を東端から西端まで歩き通し、下流側の田畑を東へ戻る形でポピー畑に着いたため、2時間がかりとなった。

日本一の川幅は、荒川の両岸の堤防間の2537メートル。県道27号(東松山鴻巣線)の鴻巣市側と隣の吉見町側に「日本一」標柱が建ち、歩道橋や歩道の欄干にも看板が取り付けられている。

草を刈りはらった吉見町側の堤防に座り、汗ばんだ体を休めた。川風が心地よい。堤防上の自転車道から左の小道に下り、農道のような道を進む。麦畑の上空でヒバリがさえずる。大きな区画に整備された水田地帯ではほとんど田植えを終えていたが、田植え機を動かす姿も見られた。ここにも爽やかな風が渡る。

御成橋の上から遠くに見えていたポピー畑が目の前に現れた時、正午を知らせるチャイムが流れた。それから間もなくして後方を歩いていた女性の一団がケーブルテレビのインタビューを受けた。

この日は「ポピーまつり」(26日まで)の初日。黄色のカリフォルニアポピーは満開、赤やピンクのシャーレ―ポピーも見ごろを迎え、見物客はすでに大勢いた。私たちは着いたばかりで、ポピーの感想を述べるほどの材料を持ち合わせていないのではと危惧したが、「きゃしゃな花びらがとてもきれい」とよどみない一言も。

ポピー見物は後回しにして、まずは市の休憩施設「愛里巣(あいりす)」の内外で弁当を食べた。午後1時から30分間の自由見学では、薄紫色の花が満開の麦なでしこを摘み取ったり、写真撮影に夢中になったり。

ポピー畑からは勝願寺境内で花が終わりのヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃ)や真田信重らの墓などを見た後、まだあった日本一の「日本一小さい東照宮」(鴻巣御殿跡)に立ち寄り、午後2時半ごろ、鴻巣駅で解散した。鴻巣駅発着の距離は約11キロ。
(下の写真はインタビューに応じる女性会員、「麦なでしこ」も満開)
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初公開 国登録文化財の高橋家 市教委が文化財散策

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 昨年3月、国登録有形文化財となった西東京市保谷3丁目、高橋家住宅が5月17日、市教育委員会主催の「文化財散歩」で初めて一般公開された=写真は主屋。

 登録されたのは主屋と土蔵、衣装蔵、納屋、表門の五つの建造物。
 
 この中で最も古い納屋は柱などに江戸末期の建築を残す。1926(大正15)年に棟上げした木造2階建ての主屋は伝統的な武蔵野の豪農の間取りを持ち、前庭、屋敷林とともに保存状態が良い。

 所有者の高橋孝さん(71)が、参加した23人を表門をはじめとして各建物を案内した。主屋の座敷は内部が見えるように障子を開けており、「調度品などはほとんどいじっていません」。棟上げ式の写真や屋敷林に残されたタヌキのふん、4カ所ある井戸などについても説明した。

 市教委によると、市内の国登録有形文化財(建造物)は田無神社参集殿、小宮家住宅に次いで3件目。「登録」は「指定」よりも規制が緩やかという。

 文化財散策は下保谷地区で行われ、高橋家住宅の後、天神社で波を描いた「こて絵」、福泉寺では明治の廃仏毀釈(きしゃく)の嵐から難を逃れた「三十番神神像」などに見入った。最後に下保谷四丁目特別緑地保全地区(旧高橋家屋敷林)を訪ね、黄色い花が鮮やかなニッコウキスゲなど約100種の草木が植えられた野草園の観察を楽しんだ。

(下の写真は、風格を感じさせる高橋家の表門、旧高橋家の野草園に咲くニッコウキスゲ
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