富弘美術館は、中学の体育教師になって間もなく頸椎(けいつい)を損傷し手足を動かせない星野富弘さん(67)が、筆を口にくわえ水彩で描いてきた草花などの自然と、描くものに語りかける言葉を一体にした詩画が数多く展示されている。苦しみ、愛、希望、命――人生のいろいろなことについて考えさせてくれる。この日は同美術館に近い国民宿舎サンレイク草木に泊まった。
翌日は国道を北上して足尾歴史館へ。館長の長井一雄さん(73)がふだんの開館より30分も早くから案内してくれ、明治時代の銅山事業とまちの隆盛や古川鉱業の歴代社長などについて解説。鉱害の原点といわれながらも、明治30(1897)年に世界で初めて煙害防止の脱硫塔を設けるなど公害対策と取り組んだこと、島根県・石見銀山のように世界遺産登録を目指していることについても熱く語った。このあと、江戸時代の手掘りから昭和の機械化までを人形などで再現した坑道を歩いた。
足尾から2時間ほどで岩宿博物館に到着。解説員が付いてくれ、施設の外の「岩宿人の広場」でマンモスの骨で作られた家を見たり、日本列島に旧石器文化はないという学説を覆した相沢忠洋が発掘調査したのと同じ場所(岩宿遺跡)に立ったりした。遺構保護観察施設(岩宿ドーム)では当時の人々の生活や自然環境の映像と透明パネル越しに地層を見ることができた。館内には石器づくりの技術の移り変わりや使われ方、国内各地で発見された石器文化の地域性など石器に関する展示に工夫が凝らされている。(下の写真は足尾博物館と岩宿広場のマンモスの骨で作られた家)