緑に癒やされ 町田・戦車道路を歩く

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 北多摩自然環境連絡会主催のウオッチング「多摩丘陵の背骨 戦車道路を歩く」は6月12日、現在は「尾根緑道」となっている町田市内の約8キロを中心に行われた。時折、小雨が降る中、11人が緑の風景などを楽しんだ=写真。
 「戦車道路」は、第2次大戦の末期に相模陸軍造兵廠(しょう)(現米軍相模補給廠)で製造した戦車の性能試験や操縦訓練を目的に造られた。尾根緑道とその北側を周回するなど総延長約30キロの道路計画があったとされるが、そっくり残っているのは今の尾根緑道に重なる区間だけという。
 この日は京王相模原線多摩境駅に集合し、まず都立小山内裏(おやまだいり)公園へ。水上に現れた枯れた杉木立が独特の景観をつくる大田切池、津久井で捕れたアユを江戸の町まで売りにいくのに使っていた「鮎(あゆ)の道」(津久井往還)と園内を巡り、鮎の道を出た所が戦車道路の西の端に当たる。
 戦後しばらく当時の防衛庁が使っていたころまで未舗装だった道路は多摩ニュータウンの造成で資材を運ぶため舗装された。公園側の左の雑木林は野生生物のサンクチュアリとして保護されて育ち、右にはソメイヨシノの並木が整備され、戦争の遺物をしのばせるものは何もない。これから花の盛りを迎えようとするアジサイ、白い花をいっぱい付けたヤマボウシクマノミズキに目をやりながら、緑のトンネルを東へ進んだ。
 西展望台、東展望台からは手前に相模原市の街並み、遠くに丹沢の山並みが望めた。冬は富士山の頂上部が見えるという。
 桜並木はやがてケヤキ並木に変わり、南側に住宅街が広がる。当初は緑道の北にある鶴見川源流の泉を訪ねる予定だったが、前日からの雨で足元が危ないルートのため中止し、緑道を進む。
 ケヤキ並木の次は再び桜並木に。東へ約1.5キロ、早咲きから遅咲きまで3つのゾーンに分けて十数種、約450本を植えたと、町田市の説明板にあった。
 尾根緑道の終点は大賀藕絲(ぐうし)館。障害者たちが、ハスの茎から取り出した繊維を紡いで織った布製品や実、果托(かたく)を使った手芸品、洋菓子などを製作・販売する施設で、入れたてコーヒーを100円で飲み最後の休憩。
 同館から桜美林大、矢部八幡宮(箭幹<やがら>八幡宮)、境川に架かる両国橋を経てJR横浜線淵野辺駅で解散した。多摩境駅淵野辺駅の行程は約12キロ、所要時間は約6時間。(下の写真はケヤキ並木、緑道東側の桜並木)
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