東村山の古刹と八国山緑地を巡る 国宝・正福寺千体地蔵堂が公開

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 北多摩自然環境連絡会主催の「多摩の丘陵を訪ねて」の今年度4回目は9月24日、「東村山の古刹(こさつ)と八国山緑地を巡る」と題して行われ、総勢22人が約8キロを歩いた。
 
 西武新宿線村山駅東口を出発して鎌倉古街道に入り、多摩地区では最古の部類という開校140周年の化成小前、諏訪神社、市立ふるさと歴史館前を通過。国の重要文化財「元弘の板碑(いたび)」などを収める徳蔵寺の板碑保存館を外から眺め、久米川辻を直進して豊島屋酒造へ。
 
 蔵の外観を見ていると、女性従業員が「仕込み水をどうぞ」と給水機を使わせてくれた。富士山から300年かけてたどり着いた地下水とされ、まさに甘露の味。ついでというわけではないが、笹本だんご店の焼きだんごで小腹を満たす人が多かった。
 
 熊野神社の境内を抜け、梅岩寺へ。山門の外から見て左に大ケヤキ、右に大カヤがもこもこと葉を茂らせている。ケヤキは東京都の、カヤは東村山市の天然記念物に指定されている。
 
 西武線をくぐった二瀬橋からはほぼ西へ向かい、鎌倉・室町時代に幾多の戦場となった久米川古戦場跡の碑を見て、都立公園である八国山緑地に入る。この東入り口から西端入り口の広場までは約2キロ。見どころは坂を上ってほどなくある将軍塚ぐらいのものだが、道はほとんど起伏がなく歩きやすい。途中、おおぞら広場で昼食。
 
 競輪場に近い西端の丘で狭山丘陵の開発と西武鉄道の戦略について主催者の1人から解説があった。いつものことながら、北多摩自然環境連絡会の案内役の人は、主な見どころはもちろん隠れたスポットまで、実地踏査と入念な文献調査で裏付けたうんちくを語れることがすごい。
 
丘を下り、西武線踏切を渡ると「下宅部(しもやけべ)遺跡はっけんの森」と名付けられた公園。旧石器時代から近代までの遺構が埋め戻されてできた。ハナショウブで知られる北山公園を抜け、この日最大の見どころ、正福寺地蔵堂へ。
 
 地蔵堂は都内に二つしかない国宝建造物の一つ。この日は年に3回だけ一般公開されるうちの貴重な1日だ。地元の観光ボランティアガイドの申し出を丁重に断り、先のリーダーが禅宗様建築の特色をあれこれ説明してくれた。本尊の延命地蔵菩薩の両隣の棚に、合わせて千体近い小地蔵尊像が立ち並ぶ。上段の像が古く、江戸時代中期のものという。少し離れたお堂に都内で最大級という「貞和の板碑」が収められていたが、こちらは金網越しにしか見られなかった。
 
 弁天池公園を経て東村山停車場の碑がある東村山駅西口に到着し、解散。所要時間は約5時間30分。