山形の旅(上) 慈恩寺で十二神将を見る

イメージ 1
 西武新宿線田無駅に近い居酒屋のおかみ・あっちゃんと常連客2人が712日、山形県の村山・庄内地方へ日帰りの旅に出た。
 
  あっちゃんは今春、東京国立博物館で開かれた「みちのくの仏像」展で、十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)のうち展示された4体を見て感激し、12体全部そろっている慈恩寺寒河江市村山地方)を巡る旅行商品を見つけたから一緒に行こうと、なじみの客に声をかけたのだった。(写真は慈恩寺本堂)
 
 朝6時、田無発の電車に乗り、東京駅で朝食用の弁当を買い込み、712分発の山形新幹線つばさで天童へ。天童駅東口から観光バスが予定通り1030分に発車。サクランボ狩り観光の時期が終わったせいか、乗客は8人と少なく、車内はガラガラの観。
 
 それでも若い女性ガイドは明るい表情で旅気分の盛り上げに一生懸命だ。今日一日のコースの主な見どころのポイントはもちろん、山形県は人の横顔の形をしていて4地域それぞれに方言があること、サクランボは佐藤錦が終わっても「紅秀峰(べにしゅうほう)」という大粒で酸味が少なく日持ちのよい晩成の品種があり、関西で驚くほどの高値が付いてニュースになったことなど、慈恩寺に着くまでの30分間、話が途切れることはなかった。
 
 この間、車窓からは国道沿いに広がる主産地・寒河江のサクランボ畑や遠くに残雪をいただく月山が見えた。
 
 慈恩寺での行動時間は40分。地元の男性ガイドが待っていた。山門をくぐり、まっすぐ本堂へ。「慈恩寺の美仏(みほとけ)と阿弥陀仏たち」と題して、ふだんは非公開の仏像も公開されていた(720日まで)。ガイド氏によると、「六十数体あるうち33体は秘仏」という。
 
 宝冠をかぶる阿弥陀如来座像、座った腰を少し浮かせたり、やや前かがみに立ったりと姿勢が珍しい菩薩像、袖の奥が見える精緻な技法の像、胸のふくらみをのぞかせる天女の天井絵などを駆け足で見て回る。本堂宮殿前に置かれた鋳鉄の鉢に頭を入れると、ぼけ封じや若返りのご利益があるとされ、あっちゃんは実践したという。
 
 この旅で一番のお目当ての十二神将立像は、本堂を出て左手の薬師堂に安置されていた。金色の薬師如来三尊像の背後にめいめいのポーズで控えている。「頭に付いた十二支を表す動物によって、向かって右から、子神(ししん)、丑神(ちゅうしん)、寅神(いんしん)と並んでいます。2体はアメリカに行ってきました」。像の高さは1メートルほど。きりっとした面構え、一瞬で迎撃に移りそうな体勢。リアルな立体表現を1体ずつじっくり味わう時間がないのは残念。
 
 建物を移り、子安地蔵(華蔵院)の入り口付近の「寅さんの腰掛け石」をチラ見。地蔵堂の外壁上部を飾る、江戸時代の彫刻としては珍しいという「リスとブドウ」の彫り物を見たところで時間切れとなった。(下の写真は左から薬師堂、寅さんの腰掛け石)
イメージ 2イメージ 3