江戸城天守を再建しよう 大田道灌の子孫が講義

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江戸城を築城した大田道灌の第18代子孫で、認定NPO法人江戸城天守を再建する会」会長の太田資暁(すけあき)さん=写真下=が813日、東京雑学大学の生涯学習講座で天守再建の取り組みの近況や実現への意欲などを話した。
 
イメージ 2江戸城天守は幕府初代将軍の徳川家康2代秀忠、3代家光まで代替わりごとに建て直されたが、明暦の大火(1657年)で焼失してからは市街地の復興などによる幕府の財政難で再建されないまま今日に至っている。
 
皇居東御苑にある展望台は3代目の天守跡で、東西41メートル、南北45メートル、高さ11メートル。石垣を積んだ台座が残り、太田さんたちはこの上に木造の天守の復元を目指す。
 
外観を詳しく描いた屏風絵や史料を基に、城郭史の専門家らが再現した天守5階建て、高さ59メートルで、マンションの18階建てに相当する。姫路城よりも高く、容積は約3倍という。建造費は350億円と見積もる。
 
太田さんは、外国人訪問者数がフランス、米国などに比べて日本は圧倒的に少ないことや、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのバッキンガム宮殿のように世界都市の歴史や文化を代表するモニュメントがないことを指摘。さらに専門家でつくる第三者委員会の天守再建に賛同する意見を踏まえ、「江戸城日本橋、東京駅のトライアングルで日本情緒を世界に発信したい」と話した。
 
試算によると、1年目は江戸城500万人が訪れ、経済波及効果は1043億円。東京タワーが520万人、東京スカイツリー638万人だったことから見て「無理な数字ではない」と太田さん。
 
しかし、課題は少なくない。太田さんは宮内庁が新天皇即位の大祭である大嘗祭(だいじょうさい)を理由に難色を示したことを明かした。皇室のプライバシーの問題では皇后さまの好意的な判断に大きな期待をかけるとともに、講義後の質問に「(不都合な時は)城の窓を閉じるなどの工夫で解決できるのではないか」と答えた。
 
このほか昨年11月の参院予算委員会での首相答弁や関係省庁の反応も紹介し、「世論が高まれば、(再建の)話は進む」と述べた。
 
再建する会は2020年の東京五輪までの復元を目標としているが、太田さんは、同年は道灌を主人公とするNHK大河ドラマの放映実現を優先し、それをてことして天守再建事業を進めるという考え方のあることを示唆した。