江戸城を築城した大田道灌の第18代子孫で、認定NPO法人「江戸城天守を再建する会」会長の太田資暁(すけあき)さん=写真下=が8月13日、東京雑学大学の生涯学習講座で天守再建の取り組みの近況や実現への意欲などを話した。
外観を詳しく描いた屏風絵や史料を基に、城郭史の専門家らが再現した天守は5階建て、高さ59メートルで、マンションの18階建てに相当する。姫路城よりも高く、容積は約3倍という。建造費は350億円と見積もる。
太田さんは、外国人訪問者数がフランス、米国などに比べて日本は圧倒的に少ないことや、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのバッキンガム宮殿のように世界都市の歴史や文化を代表するモニュメントがないことを指摘。さらに専門家でつくる第三者委員会の天守再建に賛同する意見を踏まえ、「江戸城、日本橋、東京駅のトライアングルで日本情緒を世界に発信したい」と話した。
しかし、課題は少なくない。太田さんは宮内庁が新天皇即位の大祭である大嘗祭(だいじょうさい)を理由に難色を示したことを明かした。皇室のプライバシーの問題では皇后さまの好意的な判断に大きな期待をかけるとともに、講義後の質問に「(不都合な時は)城の窓を閉じるなどの工夫で解決できるのではないか」と答えた。