一行はバスで東京湾アクアライン、館山道、鴨川スカイラインなどを経て鴨川方面から勝浦入り。まず海中公園にある海中展望塔のらせん階段を下り、海面下約7メートルの窓から魚の泳ぐ姿を探した。この日の透明度は4メートルで天気もよく、餌かごに近づく群れに多くの人がカメラを向けた。
昼食はいづみや本店で天ぷらそばを食べ、江澤修さんらまち歩き観光ガイドの4人と合流。一行は2グループに分かれ、覚翁寺、和泉酒店、高照寺、旅館松の家、本行寺、遠見岬(とみさき)神社の順で歩いた。
覚翁寺は勝浦の朝市を創設した勝浦城主ら植村家5代の菩提寺。江戸時代の名彫刻師「波の井八」の作である本堂欄間の火焔(かえん)龍や歴代城主の墓の宝篋(ほうきょう)印塔を見たり、別名「茶水寺」と呼ばれるほど上質な湧き水をひしゃくにためて味わったりした。
和泉酒店は店内の商品棚がわずかに前方に傾き、たるのせんを抜いての量り売りの名残をとどめる。松の家は玄関上部を唐破風で飾り、扉付きの電話室を残す。どちらも昭和初期の建物という。
遠見岬神社境内の石段は3月、かつうらビッグひな祭りで60段一面に約1200体のひな人形が飾られる。神社の説明役を買って出てくれた、宮司の補佐役の禰宜(ねぎ)小林悠紀さんによると、階段の石は約170年前に土の上に置かれたもので、7~8月に改修工事を実施。地震に備えて鉄筋コンクリートの基盤を造り、幅も広げて石を足した。
一行はこの石段の上からさらに先の階段を上り、市街地や太平洋を望みながら拝殿に着き、小林さんから4代目井八の彫り物や房総半島の開拓などについての話を聞いた。
この日の最後の見どころは八幡岬公園。まち歩きコースから外れていたが、ガイドの江澤さんらもバスに乗り込み、夕日の名所という丘の上の国民宿舎跡地に立ち寄ってから岬へ。岬から見える風景などの説明をしたあとも、ついでだからと官軍塚から市役所、市営駐車場へと予定外のルートを案内してくれた。
車中、過疎化や働く場がないことを嘆きながらも「災害もない。事件もない」と勝浦を売り込む江澤さんの言葉が印象に残った。
市営駐車場でガイドさんたちと別れ、宿泊する「かんぽの宿勝浦」へ向かった。