地下に広がる神殿 首都圏外郭放水路

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 西東京市郷土文化会が来年3月例会を行う首都圏外郭放水路(埼玉県春日部市)を1224日、下見のために訪ねた。
 
 防災意識の高まりに加え、古代ギリシャの神殿を思わせる「地下神殿」が人気を呼んでいる。会が当初9月に予定していた団体見学は2か月以上前でも希望する時間帯が予約済みとあって、開催枠が増える冬季に延期。この日も、10日前に個人見学「残り1人」(定員25人)に滑り込んでのものだった。
 
 施設は国土交通省が管理する。地上施設の「龍Q館」で受け付けを済ませ、全員がそろったところで広報員が床に描かれた大きな地図で河川の説明をしたり、模型を見ながら放水路の仕組みを教えてくれたりする。
 
 皿のような地形に流れる五つの川の水を集め、ポンプの力で江戸川に送り出すことで街を洪水から守る世界最大級の地下放水路だという。
 
 予備知識を得た後、ストレッチをして地底まで116段の階段に備え、館を出る。グラウンドの横を200メートルほど歩くと、つつましい上屋があり、地下神殿への入り口になっている。
 
 地底は気温12度。コンクリートの太い柱が林立しており、1本の柱は幅2メートル、長さ7メートル、高さ18メートルで、重さは500トン。この柱59本と天井とが重りとなり、地下水によって浮き上がろうとするコンクリート水槽を押さえているという。その空間はサッカー場の広さの4階建てビルに相当する。
 
 放水路が活躍するのは年平均7回。今年9月の台風18号による豪雨では五つの河川からあふれた東京ドーム15杯分の水を江戸川に流し、浸水被害を軽減した。
 
 参加者は若いカップルや女性グループが目立った。解説後に約10分の自由時間があり、多くの人がロープ内の見学区域を歩き回って写真を撮っていた。