西部多摩川線多磨駅に午前10時集合。人見街道を7、8分歩き、東京都多磨霊園の正門に着く。案内役は、都公園協会の普及啓発活動などに携わり、緑と水に詳しい豊福正己さん。早速、多磨霊園が日本初の大規模な公園墓地であることや墓地の歴史などを聞く。
公園から再び霊園に戻り、向田邦子の墓や壁墓地を見るのだが、区画の広さや墓石の大きさのあまりの格差に驚いたり、墓石文字の「心」や「再会」に故人の思いを感じたりして、飽きることがない。
泉下の方には申し訳ないが、ホームドラマの結末編のオムニバスを見ているような気分。霊園全体のうち墓所の面積が半分以下という設計や豊かな緑も、現世に元気でいられるありがたさを意識させてくれるのかもしれない。
神社は堂山(標高約80メートル)の頂上に建つ。浅間山が堂山など三つの頂から成ることは現地で知った。多摩丘陵が古多摩川などの河川で削られ、小高い丘として残った。雑木林も武蔵野の面影を残し、若葉が美しい。惜しいことに、ここだけに自生するムサシノキスゲは花の時期を終えていた。
午後は東八道路を渡り、都立武蔵野公園の西端を歩いて野川に出る。橋を渡ると、右側にヤマグワの大木が赤黒く熟した実を付けており、枝を手繰り寄せて「子ども時代の懐かしい味」を楽しんだ。
「はけの道」を西に進む。はけは国分寺崖線と呼ばれる、東西に延びる段丘の崖。特有の地形に造られたムジナ坂を眺め、美術の森緑地に湧水の源を探った。
小金井神社の境内で、隅にあって見逃しそうな石臼(うす)塚を教えられた。使われなくなった石うすに感謝を込め、積み重ねて40年余り前に建てられた。
数千人の子分がいたという侠客(きょうかく)・小金井小次郎の墓地と、白ハギや樹齢300年を超えるムクノキとケヤキのある金蔵院に立ち寄り、「黄金の水」でのどを潤した。午後2時半ごろ、JR武蔵小金井駅南口付近で解散した。(下の写真は美術の森緑地、「黄金の水」くみ場)