天空に広がる里山 豊島区役所庁舎の屋上を見学

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 北多摩自然環境連絡会主催の第2回ウォッチングは623日、東京都豊島区役所の新庁舎10階の屋上庭園「豊島の森」と雑司ヶ谷鬼子母神などで行われ、11人が参加した。
 
 豊島区役所は、民間高層マンションとの一体型再開発事業による建設手法が話題となったが、産物の一つである屋上緑化を観察するのが今回のねらいだ。
 
 東京メトロ有楽町線東池袋からは地下道とエスカレーターで1階エントランスへ直行。しかし、屋上への通路を探しているうちに「雨で危険のため閉園」とわかった。議場のある9階で困惑していると、女性区議が役所側と連絡をとってくれ、役所側は特例として見学を許可。そのうえ庁舎運営課長の上村(かみむら)彰雄さんが案内役となってくれた。
 
 8階の外側を飾る緑のテラスから外階段を上がり、屋上に出てすぐの所がビオトーク=写真。ドジョウや自然繁殖したメダカの泳ぐ小川が合流し、岸辺にガクアジサイが咲き、周囲の草木の葉は雨にぬれてひときわ鮮やかだ。
 
 造園計画にはじめから携わってきたという上村さんは、野草は園芸種や外来種は一切排除し、水田のあぜや里山で花を咲かせるもの、木は当地に多かった雑木で、特に葉の色が優しいシラカシを中心にしたことなどのこだわりを話した。
 
 野草の種類の多さでここに並ぶのは「東京では向島百花園墨田区)ぐらいでしょう」と胸を張る。これから11月まで花は絶えないという。植栽管理のため専門家が常駐している。
 
 森の奥には荒川水系の魚のオイカワやギンブヤなどが泳ぐ水槽も備えてあった。
 
 このほかの環境対策として、LEDの全面導入効果が大きく、庁舎全体のCO排出量が当初見込みの「30%以上削減」から約45%に高まったこと、9階までの吹き抜け空間は温かい空気を排出し冷気を取りこむ省エネ効果があることなどを説明し、質問にも丁寧に答えてくれた。
 
 さまざまな環境対策について「区長のリーダーシップによるところが大きい」「維持経費はかかっても市民の税金を使っていないせいか、今のところ苦情はありません」と話した。この1年間で視察や見学で約1万人が訪れたという。
 
ただ説明員付きの見学は予約制で、国の機関や自治体、それに準じる団体などに限っており、一般の場合は自治体に介在してもらうなどの方法で申し込んでほしいとの要請があった。