
豊島区役所は、民間高層マンションとの一体型再開発事業による建設手法が話題となったが、産物の一つである屋上緑化を観察するのが今回のねらいだ。
東京メトロ有楽町線東池袋からは地下道とエスカレーターで1階エントランスへ直行。しかし、屋上への通路を探しているうちに「雨で危険のため閉園」とわかった。議場のある9階で困惑していると、女性区議が役所側と連絡をとってくれ、役所側は特例として見学を許可。そのうえ庁舎運営課長の上村(かみむら)彰雄さんが案内役となってくれた。
8階の外側を飾る緑のテラスから外階段を上がり、屋上に出てすぐの所がビオトーク=写真。ドジョウや自然繁殖したメダカの泳ぐ小川が合流し、岸辺にガクアジサイが咲き、周囲の草木の葉は雨にぬれてひときわ鮮やかだ。
造園計画にはじめから携わってきたという上村さんは、野草は園芸種や外来種は一切排除し、水田のあぜや里山で花を咲かせるもの、木は当地に多かった雑木で、特に葉の色が優しいシラカシを中心にしたことなどのこだわりを話した。
このほかの環境対策として、LEDの全面導入効果が大きく、庁舎全体のCO2排出量が当初見込みの「30%以上削減」から約45%に高まったこと、9階までの吹き抜け空間は温かい空気を排出し冷気を取りこむ省エネ効果があることなどを説明し、質問にも丁寧に答えてくれた。
さまざまな環境対策について「区長のリーダーシップによるところが大きい」「維持経費はかかっても市民の税金を使っていないせいか、今のところ苦情はありません」と話した。この1年間で視察や見学で約1万人が訪れたという。