北多摩自然環境連絡会主催の「東京都区内を中心とする緑めぐり」が11月7日、千代田区の東京駅周辺と中央区の日本橋地域で行われた。
豊島区役所、目黒天空庭園などに続き、4回目。21人が参加した。東京駅の赤れんが駅舎などの見える新丸の内ビル前で、藩邸跡地からの東京駅の歴史的変遷を学び、大正時代に定められた100尺(約31メートル)までの高さ制限の面影を残すビル群を眺めた。
新丸の内ビルの屋上緑化を見ることからスタートする予定だったが、上階の飲食ゾーンの営業開始まで時間があり、エレベーターが動かなかったため、地上でのミニ勉強会となった。
永代通り(国道1号)に出て東へ10分ほど歩くと、呉服橋交差点の手前に、植物の枝葉がはみ出して外壁を覆うビルが見えた。人材派遣大手パソナグループの本部ビルだ。
ビルに入ると、右側の部屋に小さな水田があり、「天のつぶ」という福島県が開発した新しい品種の稲が乾燥のため、「はさ」に掛けられていた。天日ならぬ発光ダイオード(LED)照明が天井で光っている。
水田の部屋を出ると、天井につる植物が葉を広げ、「アップルゴーヤ」など珍しい色や形のゴーヤが実を付けている=写真。1階では、天井にトマトが実る「トマト応接室」をガラス越しに見ることができる。
2階は面談や打ち合わせのスペースの周りを栽培中の植物が取り巻く。壁側にカイワレ大根などスプラウト(植物の新芽)栽培の棚、生育時期をずらしたバジルやトウガラシの棚。社員が水をやり、収穫した野菜は社員食堂の食事に出されるという。ホップは何に使うのかな。
見て回るだけの約20分間だったが、都会のオフィスビルであることを忘れるほど新鮮な驚きの連続だった。社員のストレス軽減にどれほど効果があるのか、どれほど見学者が訪れるのか―なども聞いてみたかった。
外堀通りを北へ向かい、日本橋川に架かる一石橋の名のいわれや「迷子しらせ石標」の役割を教わる。すぐ先の常盤橋から日銀本店旧館横の江戸桜通りに入り、三越本店へ。
本館屋上で昼食を取り、三囲(みめぐり)神社、夏目漱石の作品にしばしば登場することから設置された「漱石の越後屋」の碑、英国式の本格的な見本庭園「チェルシーガーデン」を見て回った。
笠間稲荷神社を皮切りに、高層ビルに囲まれながらも厳と存在感を示す地域の氏神様と、今春改築された水天宮の大小六つの神社をたどり、花街の面影を残す古い木造建築物を見たり、狭い路地をのぞき込んだりして人形町の町並みを楽しんだ。
人形町1丁目停留所から無料巡回バスに乗り、東京駅八重洲口で解散して計5時間のまち歩きを終えた。(下の写真は左からパソナビル内の水田、人形町の古い木造家屋)