「森・海・山」の縄文そろい踏み 下野谷遺跡記念シンポ

イメージ 1 西東京市東伏見の地下に眠る下野谷(したのや)遺跡(縄文時代中期、5千~4千年前)の国史跡指定を記念するシンポジウム「森・海・山の縄文」(市・市教委主催)が1211日、保谷こもれびホールで開かれた=写真上はパネリストの3氏、下はイメージ 3司会の都築恵美子氏。


 考古学に関心のある人など市内外から200人が参加し、会場は満席。主催者は「西武線全線の全車両に中づり広告を出した効果」とみている。


 丸山浩一市長は「遺跡を守り、活用し、次代につなげる保存活用計画を本年度から2カ年をかけてつくる」と開会あいさつ。


 「縄文時代の生態系と生業―縄文生態系を観(み)る、描く―」と題する記念講演で、東大大学院教授の辻誠一郎氏は、縄文人が気候や巨大噴火による大規模な環境変動に見舞われても、集落の周りにクリ林を作るなど適応への絶大なパワーを持っていたと強調。これまでの研究の成果を踏まえ、「下野谷遺跡からもやがてトチノキが確認されるだろう」と話し、今後の発掘調査に期待を示した。


 基調講演は「森の大集落を支えたものと繋(つな)ぐもの」と題して地元の市教委文化財係の亀田直美氏と、「海の縄文 加曾利(かそり)貝塚」と題して千葉市埋蔵文化財調査センターの西野雅人氏、「山のムラから…黒耀石(こくようせき)に託された先人のメッセージ」と題して長野県長和町の「星くずの里たかやま 黒耀石体験ミュージアム」の大竹幸恵氏が行った。


長和町からは町の歴史や文化を英語で伝えるなど国際交流を担う「長和青少年黒耀石大使」の中高校生9人もステージに上がり、縄文人の平和や友情を大切にする心を日本語と英語で訴えた。


シンポジウムは西東京市文化財保護審議会委員の都築恵美子氏が司会、基調講演の三氏がパネリストとなって行われ、会場との質疑応答もあった。亀田氏は下野谷遺跡の展望について、「(市民の)皆さんと一緒に楽しみながら、学びながら、育てていける遺跡に」と語り、センターや博物館のような施設造りにはじっくりと取り組む考えを述べた。(下の写真は左から記念講演する辻教授、長和青少年黒耀大使の発表)
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