<西東京市議会>パワハラ対策 全庁に 前教育長への調査打ち切り

 昨年末、部下へのパワーハラスメント疑惑が浮上し、前教育長が辞任したのをきっかけに教育委員会事務局職員などを対象に行われた調査結果が、第1回定例会初日の227日、市側から報告された。「人前での感情的な叱責(しっせき)」などの回答があったものの、市側は「パワハラとは判断できない」と結論づけた。

 パワハラ問題は昨年128日の定例会の一般質問で保谷七緒美氏(自民党市議団)が取り上げた。「うわさが出ている」と具体的な事例は示さなかったが、「責任の取り方はご自身で考えること」とまで述べた。前田哲(とおる)教育長はとくに釈明することなく昨年1220日に辞任した。

 丸山浩一市長の指示を受け、副市長をトップとする「職場環境等調査委員会」が庁内につくられ、前教育長の就任後に教委事務局・公民館・図書館に在籍した職員102人を対象に無記名でアンケートを行ったところ、101人が回答した。

 パワハラが疑われる言動について、最多は「人前での感情的な叱責を直接受けた」4件、次いで、「あいさつや話しかけを無視」「必要以上の仕事への監視・関与」が各3件あった。

 「業務の適正な範囲を超え、人格、尊厳を侵害する言動があったと感じられたか」の問いには、8人が「感じた」と回答。「業務の適正な範囲を超え、精神的または苦痛を伴う言動があったと感じられたか」は9人が「感じた」と答えた。どちらもほぼ半数は前教育長から直接指示を受ける立場の部課長職だった。

 一方、この問題で庁内のハラスメント相談窓口への相談は1件もなく、全対象のうちの51人(52%)が窓口を知らなかった。

 これらの結果から、調査報告書は「職場環境は改善に向けた対応が必要な状況」「相談窓口が十分に機能していなかった」と結論づけている。

 報告をめぐっては15議員が質問に立った。パワハラがあったのか判然としない調査結果に納得できず、再調査を求める声が多かったが、「受け手が不快に感じても、業務の適正な範囲であればハラスメントに該当しない」「聞き取りは職員個人の内面にかかわるもので本人の同意が前提になる。意思に基づかないで個別具体的な話を聞くのはなじまないので、これ以上の調査は考えていない」(池澤隆史副市長)との答弁を繰り返した。

 調査報告書の公開については、わかりやすく編集し市のホームページで閲覧できるようにするとした。

 また職場環境の改善に向けて、幅広い職層と職員組合を含めた検討組織を新年度初めにも立ち上げ、相談窓口の周知方法や体制、ハラスメントの理解を深めるための研修のあり方などの見直しを進めたいと述べた。