継承よりも「創刊の形で」 終刊「谷根千」の編集者語る

イメージ 1 西東京市柳沢公民館主催の編集講座が3月23日、同館で開かれた。


 東京の下町に根を張り、四半世紀にわたり季刊で発行し2009年夏に終刊した地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(通称・谷根千<やねせん>)=写真=の編集者・山崎範子さんは、後を引き継ぎたい人がいれば「新しい形で創刊する楽しみを味わってほしい」と語った。

 山崎さんを講師とする2回目の講座で、地域メディアに関心があったり谷根千に地縁があったりする12人が参加。

 雑誌は、主に山崎さんら女性3人が企画・取材編集・製作から配達までを担い、発行部数はピークには1万部を超えた。採算ラインの7千部を割り回復が難しいことなどから、「2年後に終刊」を誌上で伝えた。

 山崎さんは終刊の理由について、終刊を決断した時点で発行部数が6千部を割っていたことを明かしたうえ、まちの人との濃密な関係から雑誌づくり以外に時間を取られることが多くなり、匿名を求められたり紹介されることを迷惑がられたりと個人情報保護の難しさに直面することも増えたという。

 また、食べ歩きや散策情報へのニーズも強くなり、「自分たちの雑誌はもう要らないのでは、もう望まれていないのでは」と考えるようになったともいう。

 いま「谷根千」を引き継ぎたいと考える人にも、元の形では商業ベースに乗らないことはわかっているはずと山崎さんは推し量り、「創刊の喜びを味わえられるような、違った形のメディアを立ち上げることを勧めます」と話した。