快慶作の仏像を堪能 奈良国立博物館

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 奈良国立博物館で開催中の特別展「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」(読売新聞社など主催)を見に5月16日、出かけた=写真は入館直後の懸垂幕。この先は撮影禁止。

 一点豪華で日帰りすることも考えたが、隣の興福寺で国宝特別公開「阿修羅 天平乾漆群像展」があり、新幹線を利用した東京―奈良往復の乗車券と猿沢池近くのホテル宿泊がセットになった旅行商品を買った。

 午前7時東京発の新幹線「のぞみ」指定席車両はほぼ満席。京都でJR奈良線みやこ路快速に乗り換え、奈良駅前からバスで「氷室神社・国立博物館」下車。

 新幹線の一人旅自体が退職後は非日常的であったが、京都と奈良を結ぶJRが単線だったことや、奈良市内のバス初乗り運賃が210円だったこともちょっとした驚きだった。バスを降りて奈良公園に入ると、こちらは予想通りシカと観光客だらけ。

 奈良国立博物館には午前11時前に入館し、音声ガイドの機器を借りて約2時間半、仏像の世界を堪能した。

 快慶は日本を代表する仏師の一人で、「鎌倉時代の芸術」の項目で運慶らとともに教科書に名前が出てきた。仏教や仏像に多少関心を持ち始めた程度だが、快慶展としては空前絶後だとか、最初で最後とかの宣伝文句に踊らされたと言えなくもない。

 実際、快慶作と判明している仏像の8割にあたる37件(海外の所蔵品を含む)が集められ、関係史料とともにトピック別に展示されている。音声ガイドはこのうち24件を解説する。

 展示室に入ると、寺の山門のように、目をむき、隆々たる筋肉の2体の金剛力士像が出迎えてくれる。右の阿形が快慶作という。

 東大寺大仏殿にあった身の丈4丈(約12メートル)の四天王像(戦国時代に焼失)の10分の1のひな型とされる広目天鎌倉幕府御家人の依頼でつくり、源頼朝の頭髪を内部に納めたかもしれない大日如来坐像(ざぞう)、寄付した1万2千人もの名前を書いた文書が入っていた阿弥陀如来立像など物語性にひかれるものが多い。

 浄土宗への信仰が篤く、高さ約90センチの「三尺阿弥陀」の多さも目立つ。その端正さや格調の高さなど形式美の飽くなき追求を見比べる展示も最後にあるが、このころには疲労で気力も観察力も衰え、どれも同じ顔や体形、衣の立ち姿に見えてしまい、図録を買い求める仕儀となった。

 遅い昼食を館内のレストランでとり、少し元気を回復したところで、なら仏像館、青銅器館を急ぎ足で回り、ホテルへ向かった。(下の写真は記念写真を撮る見学者)
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