再評価の背景や絵師の生涯 「北斎入門」講座始まる

イメージ 1 谷戸公民館主催の教養講座「葛飾北斎入門」(全3回)が1010日始まった。1回目は、昨年11月に開館した「すみだ北斎美術館」(墨田区)の学芸員、五味和之さんが「すみだが生んだ偉人 北斎」と題して話した。

 五味さんによると、北斎が再評価されたのは、1999年に米国のグラフ誌「ライフ」のアンケートで、日本人でただ1人、「この1千年で最も偉大な業績を残した世界の100人」の86位に選ばれたことが大きい。

 錦絵以外の画作でもフランス印象派の画家たちに影響を与えた北斎だが、日本ではポルノ風の絵が嫌われ、昭和40年代まで絵師としての評価が低かった。

 有名な「冨嶽三十六景」は、日本では「凱風快晴」(赤富士)に人気があるが、外国では「神奈川沖浪裏」が断然一番という。

 そんな北斎の誕生から幼少時、絵師への道、90歳で死ぬまでの節目の出来事やエピソードが語られ、薄利多売の「錦絵」と高価な画材を使う同好会向けの「摺物(すりもの)」との違い、版元が仕切る浮世絵製作の分業ネットワークなども解説された。

 この講座は定員20人で募集されたが、申し込み開始時刻から電話が殺到し、何度も掛けなおしたり「キャンセル待ち」が出たりするほどの人気ぶり。軽妙でわかりやすい五味さんの話にみんな熱心に聞き入っていた。

 次回は17日、五味さんと一緒に墨田区内の北斎ゆかりの場所を歩く。