文化の秋 聴覚障害者が江戸東京たてもの園見学

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 「東京文化財ウィーク2017」にちなみ、聴覚の不自由な人たちに江戸東京たてもの園小金井市)で歴史を伝える復元建物を知ってもらう催しが1026日、同園であった=写真は三鷹市から移築・復元された江戸末期の名主の屋敷。

 都教育委員会が主催する聴覚障害者社会教養講座の一つで、健聴者も一緒に学べる。この日は計14人が参加。
 
 ビジターセンターで行われた講座には手話通訳と発言内容をほぼ同時に文字で映し出す要約筆記が付き、たてもの園の学芸員が展示物の概要や建物の移築・復元、補修工事のやり方などについて記録写真を使って解説した。

 園内には復元建造物が30棟ある。見学は障害者と健聴者の2グループに分かれ、それぞれに学芸員が付いて重点的な建物を案内した。

 西ゾーンの吉野家は現在の三鷹市で名主役だった農家が江戸時代後期に建てた。式台付きの玄関に格式の高さが見られ、持ち運びできるいろりが土間にもあった。

 「女性の人気は一番」という大正末期の田園調布の家などしゃれた住宅が並ぶ山の手通りから高橋是清邸の前を通って東ゾーンの下町へ。

下町中通りの突き当たりにある「子宝湯」は東京の銭湯を代表する昭和初期の建物だが、石川県から大工を読んだり、玄関上の彫刻や天井をぜいたくな造りにしたりして、通常の2倍、現在なら3~4億円が投じられたという。昭和10年ごろに再現された脱衣所や浴室などの内部もじっくり見た。

たてもの園には子宝湯をはじめ、スタジオジブリがつくるアニメ映画のモデルになったのではと話題になったものが多い。ある学芸員は文具店「武居三省堂」の壁際の商品棚だけは「『千と千尋の神隠し』で釜爺(かまじい)の薬箱のモデルになったと言ってよいと言われている」と明かした。

リーフレットや説明板にはないエピソードを聞くことができ、参加者たちは約1時間の園内散策に満足した様子。都教委職員は「施設の存在を知らなかった人がいたし、また来てゆっくりと見たいという声も多かった」と話した。(下の写真は左から下町中通りの建物群、昭和初期の銭湯「子宝湯」)
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