先行して整備が進むのは都道(農場内は未着工)北側の北キャンパス地区。ここを東西に分ける園内通路の東側にコンバインやトラクターなどを収める全長80メートルの格納庫棟、西側には穀物乾燥機や冷蔵庫を備え肥料・農薬などを保管する全長70メートルの調製施設群が新設された。
両棟は都道に並行して最も近くに配置された。建物は米国が技術開発した耐久性の高い鋼板を用い、外観は色彩とデザインに配慮したという。雨どいをなくすことでもメンテナンス性を高めた。雨水は地下浸透で処理する。内部の照明は、屋根の上のドーム型ガラスから太陽光を取り込み、室内照明として利用する「光ダクト」を採用。
日本の多くの稲作農家は玄米で出荷し、業者が精米して販売するのが一般的だが、この施設では一貫処理できることにより、栽培から白米出荷まで水稲の全工程での教育研究ができるようになったという。
玄米にするまでの設備では、コンバインで収穫した生もみに適度な熱風を送って循環させることで、もみ全体の水分を均一にしたり、より効率的に遠赤外線も使えたりする循環式乾燥機や、乾燥したもみを高速で壁に衝突させてもみ殻を外す衝撃式もみすり機、このあとさらに複数のふるいにかけて玄米ともみを分ける揺動選別機、玄米とくず米を分けて排出し計量しながら袋詰めできる選別計量機などについて、実際に作動させながら解説があった。
精米の工程では、何分づきにするか簡単に調節できる精米機、再びくず米を取り除く小米取り機、白米に青色LEDを当て着色粒などを除去する色彩選別機、白米が傷つきにくい素材を使った白米計量機が説明された。
刈り取りながら脱穀する自脱コンバインは「日本の独自開発で稲刈り専用」などの説明があり、国産の3条刈り最新型では、脱穀の性能を落とさないよう車体を常に水平の状態に保てることや、手こぎ作業時の事故防止のためボタンを押すとエンジンが緊急停止することなどが実演された。
質問は随時受けられ、米川さんは、北キャンパスと南キャンパスをつなぐ道路について「都道と平面交差を考えている」、野生動物のための通路を設けることは「検討していない」と話した。(下の写真は左から格納庫棟の外観、トラクターによる耕作の実演)