どうする? 定年後の人づきあい 新聞社が座談会

新聞の読者とゲストが「『第二の人生』の人づきあい」と題して公開の場で語り合う催しが32日、東京・中央区のホテルであった。

朝日新聞社主催の「Reライフフェスティバル」のプログラムの一つ。司会の紙面担当者、楠木ライフ&キャリア研究所代表の楠木新(あらた)さんとエッセイストの岸本葉子さんのゲスト2人、読者会議メンバーの男女各2人が円卓に着き、その周りを約70人の聴衆が囲んだ。

司会者は日米独などの国際調査から、日本は近所の人との付き合い方で、「立ち話をする程度」の割合が他国より多いことや、「同居の人以外に頼れる人がいる」と答えた人の割合が最も少ないことなどを示した。

読者側からは元小学校長の男性が、現役のときはよく地域に出ていたのに、退職後は隣近所の人とも話ができず、話し相手は妻だけという落差を告白。いくつかのサークルも肌に合わなかったが、老人クラブの「小間使い」を引き受けたのがきっかけとなり、人から人へのつながりも活動の範囲も広がったという。

サラリーマンを辞め果樹園で援農ボランティアをして3年目という60代男性は、「傷物を家に持って帰ると妻が喜んでスイーツを作る。今のところ、妻との関係も良好」と、おまけが付いた。70代女性は「誰とでも友達になれる」。

つきあい方については「上から目線の人には距離を置く」「相手が来るまで近づかない」など距離感を意識する人がいる一方で、「相手の話をよく聞く」「失敗話などで自分をさらけ出す」「類は友を呼ぶ」の声も。

ゲストからは「人との出会いが大事。人の中に出ていこう。同窓会を呼びかけて過去に戻ったり、地域を知る奥さんの知恵を借りたりしてもよい」と楠木さん。岸本さんは「あいさつは欠かさないようにしたい。無視されてもいつかは受け止められるかも。ほどよい自己開示もあってよいのでは」と話した。