国立天文台は3月21日、三鷹市の三鷹キャンパスで「春分の日ガイドツアー」を行った。普段は公開していない施設跡も見ることができ、雪や雨の中を訪れた人たちを喜ばせた=写真は20世紀初頭に購入したフランス製の観測機器。
1日に3回、各回の定員20人で参加者を募集したが、あいにくの天候で数人の辞退があったという。
この日は、中桐さんの解説をイヤホンで聞きながら、「北コース」を1時間30分ほどかけて歩いた。
正面入り口の坂を上ってすぐの所にある日時計を皮切りに、日本の中央標準時を決めるための子午儀の一つが載っていた台座の記念碑▽19世紀末のドイツ製で国の重要文化財でもある子午儀などを収めた子午儀資料館▽荷造りされたままだったため関東大震災の難を逃れ、今でも動く子午環とかまぼこ型の施設(国登録有形文化財)▽旧ソ連製の人工衛星追跡用望遠鏡など大小さまざまな歴史的観測機器を展示する天文機器資料館――と、ここまでは普段も公開されている施設だ。
この先は雪をかぶりぬかるんだ小道。「見学者は立ち入りご遠慮を」の表示と鎖を渡したポールの横を抜け、森の中へ。
菱形の測量によって地殻変動をとらえるため端点に埋め込まれた基準標識を最後にツアーを終えたが、中桐さんのわかりやすく丁寧な解説に質問はほとんど出なかった。廃棄されかけた機器の保存に力を尽くしてきたことも随所で伝わってきた。(下の写真は左から三鷹国際報時所跡の門柱、一等三角点「三鷹村」)