2万年前の石器工房? 相模原・旧石器遺跡

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大型連休最後の56日、神奈川県相模原市の市立史跡田名向原(たなむかいはら)遺跡旧石器時代学習館と同遺跡公園=写真=を訪ねた。

正確に言うと、大学時代の友人が集まることになっていた相模原市のホスト氏が、前触れなく案内してくれたのだ。

学習館へはJR相模線原当麻(はらたいま)駅から車で10分足らず。彼自身が市の文化財調査・普及員の肩書を持ち、まずエントランスホールで床に描かれた黒曜石の原産地と当地との位置関係がわかる地図の説明をしてくれる。床下には、出土した2万年前の黒曜石と同じ産地の原石も展示されている。


 展示室に入ると左の壁には1万年を1センチで見る人類進化の年表が描かれ、右側には相模川など大地の絵の手前に狩猟と採集の暮らしを象徴する人形が並ぶ。

遺構は石ころで囲まれた直径10メートルのほぼ円形。炉や柱穴の跡、約3千点の石器類が確認された。住居状の遺構としては国内で最古という。

調査状況などを記録したビデオでは、広い家の中に炉を備え、大がかりに石器が作られていた遺構は「日本でここだけ」と語られていた。工房跡だとすれば、定住へ一歩を踏み出した跡かもしれないとも語られ、興味深い。

学習館を出て県道を渡った向かい側に遺跡公園があり、2万年前の住居状遺構が復元されている。本物の発掘現場は埋め戻され、この下に保存されている。

公園には旧石器時代だけでなく、公園から少し離れた所にあった古墳時代の小型の円墳が復元されている。縄文時代中期の竪穴住居は2年前に火災で焼失し、更地になっていた。ただ弥生時代の遺物・遺構は見つかっていない。

公園の西側には、大昔よりも低い位置を流れているであろう相模川圏央道につながる道路が見えた。(下の写真は左から学習館展示室、遺跡公園に復元された小型円墳)
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