平面を立体に変容させる情熱 東京・汐留で「ブラック展」

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20世紀初頭の欧州絵画界に、ピカソとともにキュービスム(立体派)という革新をもたらした画家の作品展「ジョルジュ・ブラック展」が、東京・汐留のパナソニック汐留ミュージアムで開かれている=写真。68日には関連イベントの最後となる、学芸員によるスライドトークがあり、約50人が展覧会の見どころなどに聞き入った。

展覧会の副題は「絵画から立体への変容―メタモルフォーシス」。メタモルフォーシスとはブラックが最晩年の1961~63年に制作した、一連の平面作品と立体作品の総称とされ、約100点に及ぶ作品群の本格展示は日本で初めてという。作品の多くはフランスの美術館の収蔵品。

展示は、立体作品の下絵となったガッシュ不透明水彩)画やそれから派生したリトグラフ(石版画)と金箔(きんぱく)による作品を集めた「平面」から、皿やつぼなどの「陶器」、指輪やブローチなどの「ジュエリー」、ブロンズの鳥などの「彫刻」、ステンドグラスやタピスリー(タペストリー)などの「室内装飾」へと進む。

メタモルフォーシスには「変身」や「変容」の意味があり、作品の多くはギリシャ神話の女神や神々の化身、空間を象徴する鳥がモチーフになっている。造形の変容には宝飾作家と手を組んだ。

担当学芸員は、ブラックが絵をジュエリーに変容させた理由について「頭の中にある図版を取り出して立体で表現し、触れるものに実現したかった。ジュエリーは一番の見どころです」と話した。

同展は24日まで(水曜休館)。一般1千円、65歳以上900円など。