広重「東海道五拾三次」30代と50代の作品対比 八王子

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 歌川広重(1797~1858)の代表作「東海道五拾三次」の特別展が開かれている八王子市夢美術館で616日、外部の専門家によるギャラリートークがあり、会場に入りきらないほどの人が集まった=写真は特別展会場入り口。

 特別展は、広重30代の出世作となった「保永堂(ほえいどう)版」と50代で描いた「丸清(まるせい)版」(隷書版東海道)を同時に展示した。

 いずれも53の宿場町に日本橋と京都を加えた計55枚の大判錦絵。構図や題材などの違いを見比べて楽しんでもらうのが狙いだ。現地と推定される大正時代と1994年の写真も添えられている。

 作品解説をしたのは中山道広重美術館(岐阜県恵那市学芸員の前田詩織さん。前田さんはまず、保永堂版の爆発的ヒットとなった時代背景について名所図会などの出版物が出回り、「東海道中膝栗毛」が大ベストセラーになったこと、インフラ整備も進んだことなどを挙げた。

 このあと日本橋から順に箱根、掛川四日市、大津、京都など計9カ所について、それぞれの作品の前で対比のポイントを説明した。

 「箱根宿」では、「保永堂版は山水画の影響が顕著。構図に変化があり飽きさせないが、視点がいくつもあって不自然。丸清版は俯瞰(ふかん)していて穏やかだが、きれいすぎる。ぱっと見て感情移入しにくい」などと話した。

 美術館によると、ピーク時には予想を大きく上回る約150人の観覧者があり、1時間の解説を聞き終えてから作品を見る人が多かった。

 展示は7月1日まで。月曜休館。観覧料は一般500円。65歳以上は250円。(下の写真は美術館入り口)
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