東京・北区 石神井川下流に「渓谷」の面影訪ねる

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 北多摩自然環境連絡会の今年2回目のウォッチング活動は711日、東京都北区の石神井川沿いと飛鳥山公園で行われ、22人が参加した=写真は音無親水公園。

 JR埼京線板橋駅東口(滝野川口)を午前10時すぎに出発。駅前広場のすぐそばにある「近藤勇新撰組隊士供養塔」に立ち寄り、首都高速中央環状線の下の中山道(国道17号)を越え、東京国際フランス学院を左に見て進むと石神井川に出る。

 午前中はそこに架かる観音橋から下流に向かい、音無橋下の音無親水公園まで歩くのだが、江戸時代中期から明治にかけては渓谷で寺社も多い景勝地だったことがしのばれ、退屈しない。

 石神井川は、上流の西東京市に住んでいると、東伏見小付近から上流は幅が狭く水は枯れていることが多く、河川のイメージからはほど遠い。

 ところが、観音橋から見る石神井川は川幅が広く、護岸の壁も高い。音無もみじ緑地は川のすぐ隣に蛇行跡を池の形で残していた。外縁部に遊歩道が設けてある。かつては深い谷で岩屋や滝があり、紅葉名所として錦絵も多く描かれたという。

 音無さくら緑地は、現在の川から切り離された蛇行跡が森の広場になっている。一部に天然の河岸が見られ、湧水の流路も作られている。夏の日差しの強い日は絶好の休憩スポットだ。「緑の吊(つ)り橋」は全長約15メートルで、定員はないようだ。

 音無橋を下りると、切り替える前の河道を利用して造った音無親水公園。巧みに石を配して野趣に満ち、緑陰もたっぷり。昼時とあって弁当を広げる勤め人の姿がちらほら見られた。私たちも約40分間の昼食タイムをとった。

 途中、三つの寺に立ち寄った。観音橋を渡った先の寿徳寺は本堂前の大イチョウが枝から気根を下ろす。イチョウの皮をご飯に炊き込んで食べると母乳がよく出るとされ、本尊にちなんで谷津子育て観音とも呼ばれる。近藤勇らの菩提寺

 緑の吊り橋の先の金剛寺は通称紅葉寺。源頼朝がこの地に陣を構え、戦勝を祈願したとされる。正受院(しょうじゅいん)の本堂裏に石神井川が流れ、近くに不動の滝があった。通称赤ちゃん寺、または滝不動。戦禍を免れた明治の鐘楼門は純中国風なのが印象的だ。

 午後からは王子神社で髪の祖神をまつる末社の関神社や「毛塚」を知り、飛鳥山公園では旧渋沢庭園を歩き、飛鳥山を桜の名所にした徳川吉宗を顕彰する「飛鳥山の碑」などの記念碑を巡って午後2時半すぎ、あすかパークレール・公園入り口駅で解散した。

 この日のコースは、北区発行の観光ガイドマップ「王子・滝野川コース」をほとんど逆にたどった。案内は今回も東京都公園協会緑と水の市民カレッジ専任講師の豊福正己さん。石神井川の変容を古い地図や錦絵などの資料を使って解説してくれた。(下の写真は旧河道を利用した音無もみじ緑地、音無さくら緑地)
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