絵図は、死んで霊魂になり冥土へ旅立ち、10人の王による裁きを受け極楽浄土に至るまでを16枚に描いた印刷物。本堂1階に展示され、観覧無料。江戸時代後期に江戸の絵師が描いた原画は千葉県南房総市の延命寺にあるという。
麻布さんは毎月16日、ボランティアで絵解きを7年以上続けており、この日は午前10時からの公演に4人が訪れた。参詣者が1人でも演じ、バスツアーで30~40人が来たこともあるそうだ。
三途の川の渡り方には3つの方法があることや子どもがなぜ賽の河原にいるのか、また裁判官に当たる「十王」と本来の姿(本地仏)、死後に住む6つの世界の「六道」などの仏教用語についてもパネルを使って丁寧に説明。
地獄の釜のふたが開いた日は鬼も休んでキセルでたばこを吸っていたり、間違って極楽に来た亡者を鬼が押し返そうとしていたりと、見落としそうな隅に描かれた作者のユーモアにも触れた。
麻布さんは「京都などには応仁の乱に材をとり、怖い地獄絵が多いが、ここのものは江戸時代の世情安定期に絵師が描いただけに遊び心が隠されていて、地獄の光景よりも裁きを前面に出して悪事をしないよう教えている。極楽絵が2枚あるのも珍しい」と話した。(下の写真は極楽絵図)