「雅楽はもともと外来音楽」 仏教と文化 最終講座

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 武蔵野大学仏教研究所主催の公開講座「仏教と雅楽――聖徳太子の仏教音楽理念」が12月1日、武蔵野キャンパス(西東京市)であり、約100人が聴講した。

 講師は大阪・天王寺舞楽協会常任理事で京都大学非常勤講師の小野真龍さん=写真。

 小野さんは、雅楽が古代からの日本独自の音楽であったり、皇室の行事や神社で奏でられたりする音楽と思われているイメージを否定。

 飛鳥時代から奈良時代にかけて仏教とともに、「主に中国から輸入されたさまざまな外来音楽が前身」とし、平安時代に楽器の減少や楽舞の分類などを経て整理統合され、現在の雅楽になったという。

 外来音楽の最古の大規模演奏は東大寺大仏開眼供養のとき。このような仏教法会で外来音楽を用いる流れをつくったのが伎楽(ぎがく)を重用し育てた聖徳太子で、それは日本古来の神道的な音楽の外来音楽化と外来音楽の日本化を起こし、現在の雅楽が成立する素地をつくったと、聖徳太子が果たした役割の大きさを述べた。

 講義に続き、大阪・四天王寺舞楽大法要のDVDが上映され、太子の霊を供養する聖霊会(しょうりょうえ)が古代仏教法会と芸能の融合であることや、太子を神と見立てた神事と仏教法要が折り重なってできていることなどが説明された。

 「仏教と文化」を統一テーマとする今年度の連続公開講座は6回目のこの日で終了。来年3月9日にシンポジウム「曼荼羅(まんだら)と悟り」が予定されている。(下の写真は四天王寺舞楽大法要のDVDから)
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