「ぼんでん」豪華さ競う 秋田・横手の雪まつり(3の3)

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 「かまくら」に比べると、「ぼんでん」の全国的な知名度は低いのではないか。

 私も216日の午前中は見落としたかまくらの予備のつもりで旅程を組み立てたのだが、「梵天(ぼんでん)コンクール」が市役所前であると知り、集合の様子から見物することにして午前9時にホテルをチェックアウトした=写真は審査風景。

 いまさらながらだが、「横手の雪まつり」は、かまくら21516日)と「ぼんでん」(21617日)から成り立ち、二つセットで市の無形民俗文化財に指定されている。

 ぼんでんは火消しのまといに似ているが、作りは複雑で美しい。長さ4メートル余りのさおの先に竹籠を取り付け、鮮やかな色の布地や麻糸の「さがり」を垂らす。上部に鉢巻きや御幣を付け、最上部の「頭飾り」は、えとや人形などに趣向を凝らす。

 約1カ月かけて製作され、重さは30キロを超える。審査会場で移動中にバランスを崩し、1人で支えきれなくなるシーンも見られた。

 ぼんでん奉納行事を持つ雄物川流域でも、横手は「規模は最大、本数が最多で豪華」(市観光協会)という。歴史は約300年。

 62回目の今年は町内会や企業などから32本が参加。イノシシや金足農業高からプロ野球日本ハムに入団した吉田輝星投手を頭飾りにしたものが目を引いた。

 コンクールは、3本ずつ審査台の前に出て、8人の審査員が着想、美しさ、技術を採点した。後日、地元紙の電子版を見ると、「やりを構える織田信長」を頭飾りとした地区団体が3年連続で最高賞の特選を獲得した。

 子ども会などが作った「小若ぼんでん」も14本が参加し、1本ずつ審査台の前で気勢を上げた。

 コンクールを見終えて横手駅方面へ向かい、市交流センター「Y2(わいわい)ぷらざ」を見学してから、「横手やきそば」ののぼりを掲げる店に入った。500円という値段に感激し、目玉焼きと細切りキャベツ、福神漬けを全部ソース味の焼きそばと混ぜるというこの店の作法に驚き、帰途に就いた。

 帰宅後に見た新聞の電子版によると、ぼんでんは17日、五穀豊穣(ほうじょう)や商売繁盛などを願い旭岡山神社に奉納された。街中ではほら貝を鳴らして駆け巡り、境内では先陣を争ってもみ合うなど熱気あふれる奉納祭だったようだ。地元では「ぼんでんが終われば春が来る」と言われているという。
(下の写真は最高賞を獲得したぼんでん<左>、出番を待つ「小若ぼんでん」)
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