俳優田中哲司 太宰の2作品を朗読

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 太宰治の作品を演劇人が朗読する「太宰を聴く」が7月20日、三鷹市芸術文化センターであり、俳優の田中哲司さんが2作品を朗読した。

 朗読会は19回目。田中さんが選んだのは、作家と作品のモデルになったと思われる女性をめぐる短編小説『恥』(昭和17年)と、裏商売を手伝って羽振りのよい雑誌編集者の愛人縁切り作戦を描いた『グッド・バイ』(昭和23年、未完)。

 朗読会に先がけて行われた今年の太宰治賞の受賞者インタビューで、阿佐元明さんが「太宰は句読点の打ち方がうまい」と語ったのを受け、田中さんは「私は『気持ち』で読みます」。

 田中さんは、下読みで『恥』が22分、『グッド・バイ』43分だったことを明かし、1枚を読み終えると原稿用紙を床に散らした。

原稿には、女性の発言のかぎかっこを赤色にしたり、音響効果の入る箇所を書き込んであったりと、手の内を明かしながら書き進む太宰の文体にも似た演出。幕あいと終演後には大勢の観客が舞台に近づき、興味深そうに原稿に見入った。


『グッド・バイ』を読み終えた田中さんは「(太宰作品は)ユーモアがあるのが好き。読みあさってください」と話した。