見どころてんこ盛り 湯島天神、旧岩崎邸庭園、東大を巡る(1/3)

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銅製の表鳥居の基部。鳥居は東京都指定有形文化財

 市民団体の北多摩自然環境連絡会主催の「湯島天神旧岩崎邸庭園と本郷界隈(かいわい)散策」が9月25日、東京都文京区であり、秋晴れの下、15人が参加した。

 

 都公園協会の都民向け学習事業で講師を務める豊福正己さんの企画と案内。

 

 東京メトロ千代田線湯島駅湯島天神方面改札口に集合。午前10時ごろ、C13出入り口から湯島白梅商店会の通りを男坂へ向かう。男坂下の心城院は、小さい境内に、関東大震災の避難者に唯一命の水を与えた「柳の井」があり、池には準絶滅危惧種のニホンイシガメがいる。

 

 年明けに枯れた名水は50メートルの井戸を掘って復活し、1カ月前に生まれた子ガメたちは手の届かない所でプラスチック製ケースに集められていた。

 

 38段の男坂と緩やかな女坂の二手から湯島天神の境内へ。合流地点は本郷台地の崖の上で、昔は不忍池が見え、境内とその周辺は江戸有数の盛り場だったと、豊福さんは歌川広重が描いた浮世絵の複写を見せてくれた。

 

 湯島天神といえば祭神の菅原道真にちなむ合格祈願や梅の名所として知られるが、どちらとも無縁と思われる石碑の多さに驚いた。

 

 男坂上には講談高座発祥の地や文具至宝碑、新派碑、表鳥居(銅鳥居)のそばには筆塚と包丁塚、梅園の周辺には泉鏡花の筆塚、小唄顕彰碑、迷子を捜したり知らせたりする奇縁氷人石などがあり、夫婦坂の手前には世界最多本塁打を放った王貞治氏をたたえる「努力」碑が。

 

 石造物ではないが、表鳥居の銅製の柱は下に四つの銅製獅子頭を配し,寛文7年(1667年)・同8年の刻銘がはっきり読み取れる。男坂上には都内で屋外にある唯一のガス灯。もちろん、「なで牛」も鎮座する。

 

 梅園に日陰を作っていた「すのこ」を、神職の人たちが片付けていた。夏の終わりを感じながら夫婦坂を下る。目の前を横切る春日通りの向こう側に、重要文化財旧岩崎邸庭園はある。