旧岩崎邸庭園はガイドボランティアに1時間案内してもらえるよう、豊福さんが手配してあった。
海運業で財を成し、三菱の創始者で初代社長の岩崎弥太郎が大名屋敷跡を購入し、長男で3代目社長の久弥が明治29(1896)年に本邸を造るなど岩崎家の系譜や業績を聞き、洋館に入る。
1階では、柱の周りに木を貼って彫刻を施すという凝った意匠、大理石の暖炉とその上に輸入した大鏡、婦人客室の天井を飾るシルクの刺しゅうに感嘆。
2階の客用寝室の壁紙は、和紙と金属箔(はく)、版木などを使って凹凸を出す「金唐革紙(きんからかわし)」と呼ばれる紙の工芸品。「今作れば1平方メートルで30万円」という。トイレはすでに水洗洋式。
和館に移る。20畳の広間の梁(はり)が1本ヒノキだったり、廊下天井が16メートルの杉の正目板だったりとぜいたくな建材に目を見張る。平らな敷石は並みの大きさではない。
和館から庭に出て、ベンチやテーブル、洋館に近い別棟の撞球(どうきゅう)室(ビリヤード場)の軒下で弁当を食べた。