1日だけ開帳の仏像や整備完了の金堂跡 国分寺市で文化財めぐり

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復元整備された武蔵国分寺の金堂基壇に上がる人たち

 国分寺市教育委員会など主催の市内文化財めぐりが10月10日にあった。国分寺薬師堂に安置される国の重要文化財、木造薬師如来坐像の年1日限りの開帳に合わせたイベント。約6キロのロングコースには市内外から30人が参加し、史跡や湧水の風景を見て爽やかな秋の一日を楽しんだ。

 

 JR西国分寺駅近くのいずみホール前に集合。携帯受信機のイヤホンを付け、市教委の学芸員のガイドで午前10時ごろ出発した。

 

 古代の幹線道路・東山道の武蔵路跡(国指定史跡)を再生展示した施設から、遺構を埋めた道路を歩き、鎌倉街道の一つとされる切り通しの道を抜けて武蔵国分寺僧尼寺跡(国指定史跡)へ。

 

 僧寺の金堂跡は、基壇に土を焼いた平たい板を敷き詰め、一段高い須弥壇(しゅみだん)を設けるなど復元整備を終えたばかり。須弥壇に腰をかけて休む参加者に、「そこは仏様が座る所です」と学芸員が説明すると、あわてて腰を上げる場面が見られた。

 

 金堂跡の隣にあり、日陰の多い講堂跡で弁当を食べ、午後は国分寺薬師堂に向かう。扉を開けた厨子(ずし)の中に座る薬師如来像は寄木造(よせぎづくり)で高さ約1.9メートル。平安末期の作といわれる。この日は写真撮影も許され、多くの人がカメラやスマホを向けていた。

 

 おたかの道湧水園では江戸時代末期に建築された旧本多家住宅長屋門武蔵国分寺跡からの出土品などを展示する資料館を見た。本多家は代々の名主とはいえ、農家の長屋門に座敷や縁側、トイレ付き、しかも2階があるのは珍しいという。修理して昨年春から内部を公開している。

 

 湧水園に湧き出る水源から先は、多摩川がつくった段丘・国分寺崖線の下の湧水地域をたどる。お鷹(たか)の道を少し外れて真姿(ますがた)の池とすぐ近くの水源に立ち寄り、国分寺街道に出て、殿ヶ谷戸庭園(国指定名勝)に午後3時ごろゴールインした。

 

 殿ヶ谷戸庭園は庭園の管理者がガイドしてくれるおまけ付きとなった。

 

 緑の芝生が広がりハギのトンネルなどのある段丘上から、アカマツやモミジが多い斜面を下り、崖線下の湧水の池を中心とした和風庭園を通って紅葉亭へと1周。シモバシラ、ホトトギスといった珍しい野草の花を見ることができた。

 

 うっすらと赤く色づいたように見えるイロハモミジは夏の暑さで枯れかけたもので、本当の紅葉の見ごろは11月中旬ぐらいからではないかという。