ホームカミングデー 最初で最後の招待

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ホームカミングデーと校友会主催の大学祭でにぎわうキャンパス

 〇…50年ぶりに母校の大学を訪ねた。つまり、卒業後、初めて。日本有数のマンモス大学の一大イベントの日とあって、キャンパスの各館前は物販などのテントが隙間なく並び、OBグループや家族連れでにぎわっていた。

 

 〇…この日、10月20日は「ホームカミングデー」だから、数カ月に1度の飲み会を大学周辺でやろうということになっていた。ホームカミングデーとは、卒業後15年目・25年目のように節目の年に、大学当局が記念式典に招待してくれる日。

 

 〇…飲み会仲間は首都圏に住む7人。10年前のホームカミングデーをきっかけに仲間を増やしたというが、私は北海道に就職し、ほぼ3年ごとに転勤していたので大学や校友会からの音信は早くからなくなり、その存在も、校友会主催の祭りと同日であることも知らなかった。

 

 〇…ただ、卒業後、初めての母校再訪であることには仲間からあきれられた。「だってオレ、そんなに愛校心ないもん」。地方勤務になると、必ずと言っていいほど校友会支部があったが、学閥を肯定する罪悪感のようなものから参加しなかった。

 

 〇…キャンパスのざわめきの中で、仲間の一人が少し感慨を帯びた口調で言った。「卒業後50年が最後だから、オレたちにはもう招待状は来ない」。一人だけ記念式典に出席して総長の講演を聴いた別の仲間は「外国人留学生の受け入れ数が日本の大学で一番多いと自慢していた。大学の未来の方向は国際貢献だと。つまらん話だった」。それぞれに「母校」と向き合った1日ではあった。