コロナ「陽性」も笑いに 柳家権太楼独演会

f:id:amullar:20220314195910j:plain

終演後に貼りだされた柳家権太楼独演会の演目

 落語家は自分のコロナの災禍も笑いのネタにしてしまう。柳家権太楼さんは1月20日、少し熱っぽかったので寄席の千秋楽を休み、PCR検査を受けたところ、陽性の結果が出た。奥さんは濃厚接触者となる。保健所との電話のやりとりで「かかあ」はこう言った。「そんなはずありません。3日も口きいていませんから」。

 

 3月13日、三鷹市で開かれた柳家権太楼独演会の後半の演目「疝気(せんき)の虫」のマクラで披露した。入院先が自宅近くの病院だったので、奥さんは「自転車でいかせますから」とも言ったそうだ。さすが噺家(はなしか)の妻、とまた笑ってしまったが、存外、本当に気が動転していたのかも。

 

 2日続きの落語会通いは初めて。権太楼さんが1つ年上であることに親近感を持ち、立ち居振る舞いやしぐさにも目がいった。客席からは見えないが、高座の上り口には小さな階段が付いているらしく、師匠が足元を見て慎重に足を運んでいるのがわかった。

 

 だが、ひとたび座布団に着座すれば、扇子で顔を隠す番頭さん(前半の『百年目』)も疝気の虫も、客のすぐ目の前にいるかのように大きく演じてみせる。

 

 新型コロナ対策では帰宅すると手洗いや消毒、うがいを欠かさず、酒も家飲みだけと言うが、普段はどうやって運動能力を維持しているのだろうか。