武蔵野大学の生涯学習講座「仏像を見る、考える」(全3回)が8月29日、三鷹市の三鷹サテライト教室で始まった。
講師は日本中世宗教史が専門の同大教養教育リサーチセンター研究員、生駒哲郎さん。仏像を美術史的な視点だけではなく、信仰の対象としても考える。それも仏菩薩(ぼさつ)の像ではなく「天部」の像を中心とする内容だという。
初回は毘沙門天(多聞天)を取り上げた。毘沙門天は単体でまつるものと、四天王の一つとして別名・多聞天と呼ばれるものがある。
足下に地天女を挟み2体の邪鬼を踏みつけていれば単体として信仰されたと考えられる。鎖で編んだよろいを着ていたり、かぶとでなく宝冠をかぶっていたりするのも単体として仏の守護神という目安になる。
このように毘沙門天は基本は2系統。しかし観音菩薩の脇侍が1体は毘沙門天だが、もう片方は不動明王(比叡山延暦寺の横川(よかわ)形式)、または勝軍(しょうぐん)地蔵(清水寺式)という三尊形式があることについても説明があった。