初めての畑作業 仲間意識も芽を出す

たるみのないようにマルチシートを張る。この前後にも多くの手間がある

 西東京市谷戸公民館の「農業を知る講座」は8月30日、初めて畑での作業があった。

 

 今年度の講座は週1回の予定で7月下旬に始まったが、最高気温が35度を超える猛暑が予想されたり、講師の農家が体調を崩したりして、畑での作業が3回中止となっていた。

 

 この間の作業は農家が本業と合わせて施肥や一部の野菜の苗作りなどの準備を行っており、講座の作付け計画に遅れはないという。

 

 この日の作業はダイコン用のマルチシート張りと支柱立て、キャベツとブロッコリーの定植だ。マルチ張りは、4グループの区画の一つで講師が手本を見せてくれる。

 

 花が終わりかけた大豆(枝豆)の隣にマルチシートを敷く。大豆のうねの谷から「しゃくり棒」と拳を使って株間を決め、うねの両端に張ったひもを引き合いながら、うねに線をつける。線と線の間がダイコンのベッドになる。

 

 線の外側をくわで浅く掘り起こし、レーキの背側でベッドをならす。マルチシートは表裏を確かめ、たるみがないように張り、周囲を土で押さえる。

 

 と、これだけでも細かい行程を踏むのだが、実際にやってみると、くわ一つとっても足の置き場や刃を入れる角度、力加減が難しく、シートの押さえ方も多段階あるなど素人は悪戦苦闘の連続だ。

 

 涼しい陽気なのに、1時間もたたずして外したゴム手袋の口から汗のしずくが落ち、手はふやけていた。

 

 それでも生徒たちはみな意欲的で、「やってみる?」と声を掛けられるとすぐに応じ、「上手、上手」と仲間を褒め、仲間意識も発芽したようだ。不首尾な所は経験豊かなグループのリーダーやサブリーダーがさりげなく修正していた。

 

 定植は先生の苗床で育っていた早生種のキャベツ「しずはま2号」とブロッコリーの早生種「おはよう」。丈夫そうな苗を抜き取り、生徒用集団区画とは別のうねに植え込んだ。

 

 床土に手の指4本を突っ込み、土を手前に寄せて根を入れる。芯は埋めないよう、かといって浅からず。ここにも知恵があった。