すがすがしい涙 乾く暇なし インド映画

 9月24日、インド映画「きっと、うまくいく」を三鷹で見た。

 

 インドの風景を映像でいいから見てみたい気持ちと、「歌やダンスのシーンが底抜けに楽しく、観(み)る人の心を明るくする力を持った快作」というチラシに誘われてのことだ。

 

 最近は、事件と人の絡みが複雑だったり、訳ありに見える登場人物が多すぎたりして、長時間我慢や思考を求められるものが苦手になった。ただただ悲しい涙を流させられる物語も好みではなくなった。昔に比べて選択の幅がずいぶん狭くなった。テレビドラマもしかりである。

 

 だから、底抜けに楽しいとか観客の心を明るくするエンターテインメントとかの宣伝文句にひかれた。

 

 「きっと、うまくいく」はインドの超難関理系大学が舞台。ここに学ぶ天才、動物好き、臆病者の3人は大の仲良し。成績本位主義の学長らを巻き込んでの騒動がテンポよく展開する。

 

 わが子には社会的評価の高いエンジニアになってほしい親、就職先を決定づける学業成績、そのための競争、学生の高い自殺率―と高等教育を巡る問題点も埋め込まれていて、それはそれで心に残るが、すがすがしい結末も用意されていた。

 

 正味171分が全く長く感じられなかった。とくに後半はにじみ出てくる「いい涙」の乾く暇なくストーリーを楽しんだ。

 

 ブルーレイによる映像は2度フリーズしてそれぞれ数分間の中断があった。午前の部でも同じトラブルがあったことを知らされていたせいか、観客は余裕を持って回復を待ち、ラストに近づいた時の中断はハッピーなシーンとあってあちこちで笑いが起きた。