農業振興 行政の取り組み 農業講座

キャベツ生産量は西東京市多摩地域で最多。講座でも作付け、収穫した=10月

 「農業を知る講座」は11月8日、行政が都市農業の振興とどう取り組んでいるかについて、西東京市の担当職員から聞いた。

 

 市内の農業は野菜、果樹、花き、植木を4本柱とし、中でもキャベツの生産量は多摩地域で1位。保谷梨はふるさと納税の返礼品などとしてブランド化を図っている。ただ、農地面積は約120ヘクタールで、多摩北部5市で最も少ない。

 

 農地面積はこの10年間で約2割減るなど年々減少、農家戸数は同期間で3割強減り2020年で187戸となった。

 

 農業施策は第2次市農業振興計画(2023年までの10年間)に基づいて行われており、農産物の売り込みのため、キャベツ頭のイメージキャラクター「めぐみちゃん」をあしらった直売所ののぼり旗、映像や音楽を流して農産物をPRするファームカーが紹介された。

 

 農業関連のイベントは今年度、「親子で野菜作りにチャレンジ」で初めてトウモロコシの種まきと収穫を行った。しかし、コロナ禍で景観散策会や緑のアカデミーなどは中止が続き、今後の展開に課題を残している。

 

 地場農産物を使った飲食物を店が提供する「めぐみちゃんメニュー事業」は今年度、小中学生からメニューを募集したところ、約3千件の応募があり、市内18店舗が100を超すメニューを商品化した。この秋は学校給食にも応募メニューが取り入れられたという。

 

 このほか農業後継者の獲得と育成、援農ボランティアの育成、市が開設する市民農園(3カ所)と農家が開設する市民農園(6カ所)・農業体験農園(5カ所)の違いなどが説明された。

 

 30年間営農すれば固定資産税の減免などの税制優遇がある「生産緑地」の指定が期限切れとなることから「2022問題」と呼ばれた制度変更は、「特定生産緑地」として10年延長される。直近のまとめでは市内の農地のうち90.3%が特定生産緑地に移行したという。

 

 農業を知る講座に畑を提供して実習指導する保谷隆司さんは、相続税を納付するため農地を売却し、現在は約40アールを一人で経営する。農産物の売り上げや手取り額を明らかにしたうえで、「作っていて楽しく、やりがいもある。売り上げ以上のいい仕事だと思っている」と農業愛を語った。