最前席で見た熱演 春風亭一之輔独演会

終演後に貼りだされた春風亭一之輔独演会の番組

 11月26日、春風亭一之輔独演会が三鷹市公会堂であった。ここでの独演会は3回目と本人が言っていたが、私はひいき筋でもないのに皆勤賞。インターネット予約で最前列を確保できたのは功徳か。

 

 最前列の席とはよいものだ。足を投げ出せるし、高座との間に他人の頭がない。見上げる噺家(はなしか)の顔はチラシほどイケメンではない。ほとんど肉声で聞こえる。同じ料金なのに。

 

 今日の一之輔は疲れただろうな。前半の高座は「反対俥(くるま)」におまけの「粗忽(そこつ)長屋」の2作を演じ、後半は「猫の災難」。老いたにわか車夫のヨレヨレぶり(反対俥)、言い訳を重ねて一口また一口と飲んではならぬ酒を飲み、畳にこぼした酒をも吸い上げるのんべえぶり(猫の災難)と、体を張っての熱演。

 

 サッカーW杯で日本が強敵ドイツに勝ち、歓喜する世相に「まぐれでしょ」と冷水を浴びせ、古今亭志ん五を独演会に呼んでいながら「へらへらしているやつ」などとこき下ろす。毒のあるマクラにも笑った。