「東京都内の方形周溝墓」を学ぶ

日野市で発掘調査が進む平山遺跡の方形周溝墓

講演した東京都埋蔵文化財センターの相原正人氏

 東京都埋蔵文化財センター(多摩市)の文化財講演会が1月21日に同センターであり、相原正人(まさひと)調査研究員が「都内の方形周溝墓」と題して話した。

 

 考古学の愛好者ら約90人が参加した。

 

 方形周溝墓は方形の低い墳丘の周りに溝を巡らせた墓で、北海道と北東北地方、沖縄を除く各地に5千基以上ある。弥生時代から古墳時代前期に見られる。

 

 相原氏は、これまでの遺跡調査の成果を画像で紹介しながら、方形周溝墓は弥生時代前期に近畿・瀬戸内地方で発生し、東海地方を経て環濠集落、稲作とともに南関東に伝来。東京には弥生時代中期後半になって東京湾岸(千代田区、港区など)や鶴見川境川流域などに伝わったと述べた。

 

 その後はじわじわと内陸部にも浸透したが、古墳時代前期まででほとんどの地域で終了した。

 

 方形周溝墓が誰の墓かについては、住居の数に比べて墓の数が少ないことや武器・装身具などの副葬品から「集落内のグループの有力者」との見方を示した。