「古墳のまち」狛江を歩く

墳丘や横穴式石室を復元整備した猪方小川塚古墳公園

狛江古墳群の中では円墳の形がよく残されている兜塚古墳

 東京都狛江市の古墳をめぐるウォーキングイベントが9月26日にあり、8人が参加した。

 

 小田急狛江駅に午前10時集合し、経塚古墳、兜塚(かぶとづか)古墳、亀塚古墳、猪方(いのがた)小川塚古墳公園、土屋塚古墳の順で回り、最後に市役所で記念の「古墳カード」をもらって狛江駅で解散する約5.5キロのコース。

 

 狛江市は全国で2番目に面積の小さい市だが、郷土史家が「狛江百塚」と呼んだほど古墳が多く、市教委によると開発などで消失したものを含めて69基が確認されている。

 

 多くは5~6世紀、古墳時代中期から後期にかけての約100年間に造られた円墳で、多摩川を往来する舟から見上げる場所にあるという。最大のものは直径約45メートル、高さ約5メートルの兜塚古墳。

 

 最初に訪れた経塚古墳は、両側のマンションに挟まれた、普通の緑地のよう。樹木や草に隠れて墳丘の形が見えない。泉龍寺に近く、中世には供養の場として再利用されたり、経典が埋められたりしたようだ。寺かマンション管理組合に頼んでかぎを借りないと門扉を開けられない。

 

 兜塚古墳は古墳全体の形がよく残されていた。円墳でなくホタテ貝形の可能性もあるが、本格的な調査は行われていないという。都指定の史跡。

 

 亀塚古墳は住宅地の小公園といったたたずまい。かつては狛江屈指の大きなホタテ貝形の前方後円墳で、戦後の発掘調査では高句麗と結びつく馬具などの副葬品が見つかった。今はかろうじて残る前方部の上に徳富蘇峰が揮毫(きごう)した「狛江亀塚」の碑が建つ。

 

 これら3基は小田急線の北側にある。亀塚古墳と次に訪れた猪方小川塚古墳は公園として整備され2020年に開園した。

 

 猪方小川塚古墳公園は墳丘(円墳)を復元し、覆屋(おおいや)を設けて横穴式石室の内部を前からガラス越しに観察できるようにしてある。狛江古墳群の築造時期より遅い7世紀半ばごろに造られたとみられるが、それがなぜかの定説はないようだ。

 

 狛江駅近くのイタリア料理店で昼食をとり、最終の土屋塚古墳へ。ここもマンションに囲まれていたが、墳丘がよく残っており、市の史跡に指定されている。出土した円筒埴輪(はにわ)から群馬とのつながりがうかがわれるという。