「火事」2題 兼好独演会

会場入り口に満員御礼の札が貼られた三遊亭兼好独演会

 12月1日、三鷹三遊亭兼好独演会があった。終演後に貼り出された番組表によると、前半が『火事息子』、後半が『厩(うまや)火事』。どちらも初めて聴いた。

 

 今日の兼好、声が荒れていた感じ。鍛えた声でなく、歌い過ぎて枯れたような。

 

 女性の笑い声が多かった印象。人気落語家の中では、確かに男前。

 

 身をくねらせ、口元に手を寄せる…そんな女性を演じるとピッタリだと思う。高座で演じたのは、質屋の息子なのに火消しになった藤三郎の母(火事息子)、仕事をしない夫を愚痴る髪結いの妻(厩火事)で、色っぽさとは遠かったが。

 

 火事息子は人情噺(ばなし)。人情噺は演じ手の力が試されるというが、聞き手にも相当の集中力が求められる。初めて聴く噺はとくに疲れる。この日も中抜けだった。