「日本一遅い紅葉」をうたう養老渓谷(千葉県大喜多町)とはちみつ工房(同君津市)、東京ドイツ村のイルミネーション(同袖ケ浦市)を巡り、昼食は海鮮料理店で浜焼き定食(同木更津市)――。12月2日、毎日新聞旅行の日帰りバス旅に参加した。旅行代金は1万7800円。
午前8時50分、東京駅丸ノ内の新丸ビル角に集合なので早起きし、7時35分ひばりヶ丘発池袋行きの快速急行に乗車。山手線に乗り継ぎ、余裕で間に合った。久々に満員電車を体験。
バスは東京湾アクアライン、圏央道、久留里街道(国道410号)、国道465号から養老渓谷へ。駐車場から来た道を戻り、粟又の滝入り口まで5、6分歩き、かなり急なコンクリートの坂と階段を下る。養老川の川っぷちに出ると前方に落差30メートル、スカート状の滝が見える。
川に据えた飛び石を慎重に渡る。向こう岸の方が滝を正面から見ることができる。下流に向かって遊歩道があるようだが、春の大雨で壊れ、途中までしか行けない。
滝の近辺にモミジの紅葉は少なく、谷の上の道を戻った方が紅葉の広がりを目の前に見られる。来る途中、道端に植えられたカエデ並木も紅葉の見ごろを迎えていて、渓谷美への期待を高めてくれる。
約1時間の散策の後、バスは木更津港そばの海鮮茶屋活き活き亭へ。集団の観光客を迎えられる広い空間に網焼き台を載せたテーブルがたくさん並んでいた。私たちの焼き物はホタテ、アワビ、ハマグリ、エビ。ガスの火が強く、かなり焦がしてしまった。アサリご飯とみそ汁が付いた。完食。
はちみつ工房では手回し式の遠心分離機で板状の蜂の巣から蜜を分離する実演を見て、搾りたての蜜を味見した。6種類の蜂蜜の試食や蜂蜜から造った酒「ミード」の試飲もあった。国内でミードを醸造する蜂蜜メーカーは少ないという。癖のない甘さは独特の魅力だが、飲み過ぎる心配と値段が高いことから購入をあきらめた。
東京ドイツ村には日没の1時間前に到着。黄や赤のケイトウがしま模様を描くいろどりの丘に登り、園内の広さを知る。オレンジ色の太陽が沈み午後4時40分、地上の建物でぼつぼつと点灯が始まる。中庭がきれいと教えられていなので、移動しようと体をひねった時、足がもつれて転倒した。膝、額を打ち、手指を突いた。立ち上がろうとしたが力が入らず、近くにいたカップルが起こしてくれた。
場所が木製の階段だったおかげで、左手の指2本に強い痛みが残っただけで、少し休むと一人で歩けた。添乗員の女性が救護所を見つけて指に湿布を巻いてくれた。このトシになると災難はどこにでも転がっていると改めて反省し、老いた体を悲しく思った。
足元の起伏に気をつけながら、様々な色の線が織りなす光の絵画世界をカメラに収めた。自動運転のカートが走り、乗車を待つ行列に驚いたが、けが人の心は沈み、写真を撮ること以外の情動は湧かなかった。午後5時50分集合のバスに、真っ先に戻っていた。
バスは渋滞に遭うことなく順調に走り、予定時刻の7時に東京駅北口に帰着した。