駆け込み人気? 「はにわ」展

「はにわ」展で初対面は「踊る人々」。素朴なゆるさに魅了される

国宝「挂甲の武人」を彩色復元した実物大レプリカ

 前売り券を買っておきながら 延ばし延ばしにしていた東京・上野の東京国立博物館の特別展「はにわ」(10月16日~12月8日)を見に12月6日、出かけた。

 

 最終週とあってある程度は混雑を予想していたが、午後1時で入場まで20分待ちの行列。4時ごろ館を出ても最後尾は20分待ちだったから、また驚いた。

 

 帰り際にインフォメーション担当者に聞くと、今回の企画展は最終週だけでなく開幕当初から入場者数が多いと言う。

 

 古代史が静かなブームなのか。それとも埴輪(はにわ)自体に現代人をひきつける魅力があるのか。例えば、穏やかで相手を和ませるような表情やポーズ、かわいさを感じさせる豚や馬などの動物、ままごと遊びができそうなミニチュアサイズの建物―。

 

 入場者は女性の姿が多いように見える。会場はほんの一部を除いて展示物の写真撮影が許されているので、スマートフォンが向けられる。それが拡散され、入場者を増やすというSNS効果かも。

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 音声ガイドレシーバーを650円で借り第1会場に入ると、「踊る人々」(6世紀)2体がお出迎え。汚れを落としたり台を補修したりして公開された。その「ゆるさ」はカメラを向けずにいられない。

 

 高さが2メートルを超える円筒埴輪は厚さが2センチほどという。家形埴輪の千木(ちぎ)が屋根から飛び出した形は今の神社に受け継がれているという。動物埴輪で最も多いのは馬だそうだ。船形埴輪の船は王の魂を運ぶ。

 

 埴輪は粘土を焼き固めたものだけではない。阿蘇の噴火で火山灰が固まってできた石を彫った「武装石人」を知る。

 

 第2会場に移ると、展覧会最大の呼び物「挂甲(けいこう)の武人」(6世紀)5体が並んでいた。主催者の一つ、朝日新聞の記事によると、「挂甲」とは鉄製の小さな板を何枚もつなげた甲(よろい)のこと。

 

 国宝に指定されて50周年になる東京国立博物館所蔵のものが主役だが、同じ群馬県の工房で作られたとみられる4体が国内外から集まり、初めて同時公開された。

 

 1体ずつの間隔がありすぎて5体一緒に1枚の写真に収めることはできない。図録は5千円と高いのでチラシで勢ぞろいを眺めるとよい。

 

 「挂甲の武人」は当初、白、赤、灰色の3色で塗られていたことがわかり、実物大のレプリカが彩色復元されている。なぜか、大阪名物の「くいだおれ太郎」を連想した。

 

 第2会場では、四股を踏んで邪鬼を払うという力士、身分ある人の一般的な座り方とされる「あぐらの男子」「正座の女子」、子豚や牛、鹿、馬、イノシシ、魚などが2列に並ぶ「動物大集合」も印象に残った。