12月21日、東京・三鷹の柳家さん喬独演会(昼の部)に行った。運良く前から2列目、正面に向かってやや左の席を予約できていた。
三鷹の落語会は今年これが最後。会場入り口には満員御礼の貼り紙が出ていた。
前半は前座の柳家小きちが『黄金の大黒』を演じ、さん喬は冬の過ごし方など季節の話題をマクラに『刻(とき)そば』に入り、『抜け雀(すずめ)』と2席を演じた。
そばはもともと関西のもので、店名に多い「砂場」は豊臣秀吉の大坂城築造に由来するとか。政権とともにそばも東へ移り、徳川幕府になって江戸にそば屋が増えた。上方での演目は『時うどん』というそうだ。
後半は「一門ではないが、さん喬師匠から声をかけられた」という柳家福多楼が独特の甲高い声と激しい動作で『反対俥(ぐるま)』を熱演。
さん喬は師匠の五代目小さんがばくち嫌いだったことを紹介しながら、ばくち好きの左官の娘が吉原の遊郭に身を投じて繰り広げられる人情噺(ばなし)『文七元結』へといざなった。
登場人物が多く、脈絡がわからなくなる部分はあったが、全体としては理解できた。聴く方も疲れる大ネタだ。
落語はこれで聴き納めだが、笑い納めとならないように日常の中で笑えるネタ探しをして日々を過ごしたい。