
12月20日に三鷹市であった柳家さん喬独演会は終演まで3時間30分に及ぶ異例の長時間公演となった。
弟子2人が今年真打ちと二つ目に昇進したことによる口上と各1席、それに前座の1席、さん喬の2席と、計5つの噺(はなし)を聴く場にもなった。
幕が上がると、さん喬(師匠)、柳家やなぎ(真打ち)、柳家小次郎(二つ目)が高座でひれ伏していた。師匠が紹介するところでは、小次郎(35)は東京生まれで国際基督教大学(三鷹市)に通ったが、卒業したかは不明。浅草で人力車を引き、海上自衛隊に入り、2019年にさん喬に入門したという。
やなぎ(35)は北海道別海町生まれで、実家は酪農家。師匠から「子豚のような者」と紹介された。もともとはやせていて俳優になりたかったが、友人に誘われて見に行った落語の「1人でつくり上げる魅力」に感じ入り、2010年入門。新作落語にも力を入れているという。
高座の背後には真打ち昇進のお披露目に使う緑地の祝い幕がつり下げられた。横約5メートル、縦約2メートルの大きさで真ん中の円の中に柳の葉がデザインされている。寄贈者は北海道中標津高校有志。
師匠は「真打ちは終点ではなく出発点。芸に屋上はない」と述べ、弟子たちへの応援を客席にお願いして三本締めの音頭を取った。
口上の後は前座が『寿限無』、小次郎は新作落語の『猫と金魚』、さん喬『笠(かさ)碁』、やなぎ『禁酒番屋』と続き、後半は伊藤夢葉(むよう)のマジックの後、さん喬が長編の人情噺『芝浜』をじっくりと聴かせた。
『禁酒番屋』と『芝浜』。この「酒つながり」では、「お前がそれやるなら、あたしゃこれやるよっ」てなやりとりがあったのではないかと、舞台裏に思いをめぐらせるのだった。