「協働のまちづくり」考えた ゆめこらぼがセミナー

イメージ 1 「市民の力で協働のまちづくりを」と題するセミナー(西東京市市民協働推進センターゆめこらぼ主催)は8月18日、イングビルで開かれ、市民活動に携わる市民ら31人が参加した。
 講師は神奈川県地方自治センター研究員の谷本有美子さん=写真。谷本さんは「協働」という言葉がない20年ほど前からリサイクルの活動拠点施設をつくることに取り組み、その後自治体の審査会など外に身を置くなど様々な立場を経験した。そこから「“協働”の幅を広げることを提案したい」とこの日の話の着地点を明確に示した。
 谷本さんによると、行政は市民活動支援や協働について、担当の職員以外は意識が低く、協働の考え方が組織全体に浸透していない。財政担当者の中にはNPOを行政サービスの安価な下請けと考えている人が少なくないという。
 また「協働」を旗印に掲げて当選した首長がトップダウンで施策に移す場合、指針やマニュアルの多くは先進自治体からを引き写して行政内部で作成する。行政が仕掛けて、いわば「官製NPO」を作り上げたりしたケースもあるという。このような行政主導型の協働は、予算の切れ目が縁の切れ目になりかねない。さらに行政が予算を付ける提案型事業でも、テーマ設定がない企画には予算が十分でなかったり、テーマ設定のあるものは、行政がやりたくないか手に負えないものだったりすることがあると指摘した。
 一方で、NPOが行政と協働するメリットは「資金の確保」を筆頭に、活動場所の確保、信頼の確保、広報宣伝の展開、ボランティアの人材確保などがある。しかし行政が期待するものとの間にギャップがある現実を踏まえ、①行政の資金を当てにするのをやめ、信頼の確保や広報宣伝のツールとしての機能など他のメリットに目を向ける
。職員と上手に接し、情報を聞き出したり、担当以外の職員を地域に引き出すのも行政資源の有効な活用法である②商工団体、企業、町内会、地域メディアなど多様な主体と連携する。これらとネットワークができると、行政に安心感が生まれる――と、市民主導による協働の環境づくりを提案して締めくくった。
 行政にとって耳は痛くても、今後の施策や職員教育の参考となるに違いない話が多かった。だが、会場には担当課職員の姿はなく、公民館職員が1人参加しただけだった。