東大 西東京キャンパス整備 条件付け許可 環境保全審部会

イメージ 1 東京大学西東京キャンパス(仮称)の整備計画について審議していた東京都自然環境保全審議会の規制部会は8月30日の会合で、特記条件付きで同計画を許可することを決めた。最大の焦点となっていた、東大農場を横断する都市計画道路の建設に、環境保全の面からも事実上のゴーサインが出たかたちだ。
 特記条件のうち、生息が確認されているオオタカについては「整備工事期間中および工事完了後3年はモニタリング調査を行い、オオタカへの影響がないよう十分配慮すること」とし、生息状況に大きな異常があった場合はすみやかに工事を中止するなど適切に対応し、その状況を専門家に報告して保護対策を都と協議するとした。また、繁殖期は工事期間中から完了後まで営巣木周辺への一般人の立ち入りを制限する。
 未利用地(売却予定地)についても、「周囲の自然景観に配慮し、景観調和を売却条件とし、売却の際周知すること」を盛り込み、オオタカ保護の網を広く掛ける。
 このほかウマノスズクサなど希少植物の移植、ため池の水生生物の生息についてもモニタリング調査を実施することなどの条件と併せて都自然環境保全審議会に報告する。
 この日の規制部会では冒頭、前回(4月20日)の委員の質問に対する事業者(東大、環境調査会社、都市計画コンサルタント会社)の回答が行われた。
 とくにオオタカの行動に関連する対策として(1)安全な飛翔(ひしょう)ルートに誘導するため樹木を移植して緑地帯をつくる(2)横断する可能性の高いルートに当たる道路を街路樹で覆う(緑のシェルター)よう都建設局に提案する(3)建物の大きなガラス窓はルーバーを設け、反射性の高いソーラーパネルは極力設置しない――と述べた。繁殖期に利用度の高い区域にあたる未利用地は、売却条件として緑化基準を40%に高めたり、本来はない建物の高さ制限を6階建て相当の20メートル以下とすることも明らかにした。
 東大の敷地外となる都市計画道路についても、電線の地中化、フード装着による街路灯の減光、熱の発生が少ない舗装などの提案や東大と連携した安全対策、維持管理対策を盛り込んだ要請書を都建設局長宛てで提出するとした。
 <主な経緯>
 東京都が進める都市計画道路3・4・9号保谷東村山線は、両側に歩道を設け全幅16メートルで、延長は約1380メートル(北原町2丁目~西原町4丁目)。2009年、地元で事業説明会が行われ、11年9月に事業認可が告示された。今年5月には起点となる北原町の緑地に事業の概要などを示すお知らせ板が立った=写真上
 東大は08年5月、市民説明会で西東京キャンパス(仮称)整備計画案をに示した。現在の田無キャンパスを大きく見直すものだ。10年4月の機構改革以降、ぼつぼつと整備を進めているが、都市計画道路の北側が研究実験施設や耕地、里地・里山などの教育研究ゾーン、南側は食育関連施設や農場博物館、見本園、市民参加実習畑などの一般開放ゾーンとする青写真は大筋で変わっていない。
 この問題で、規制部会は11年12月、現地調査と第1回会合を行い、この日が4回目。事業者の回答に対し、さらに質疑応答があり、最終的に「審議は十分尽くした」で一致した。
 一方、オオタカの生息環境や生物多様性の確保などを理由に、道路建設の凍結、未利用地の売却反対、自然環境保全審議会の慎重審議などを求める市民活動が続いている。