西東京市、災害時の対応力強化

 坂口光治西東京市長は9月5日の定例市議会で、災害時における相互応援協定を結ぶ相手自治体を今後も増やす考えを表明した。自力での避難が難しい市内の高齢者、障害者などの「災害時要援護者」対策も本格化させる。石塚真知子氏(民主党西東京)の一般質問に答えた。
 市はこれまでに多摩地域の全自治体(25市3町1村)、茨城県行方市、友好都市の千葉県勝浦市山梨県北杜市姉妹都市福島県下郷町をはじめ、近年は隣接する練馬区、埼玉県新座市と災害協定を結んだ。東日本大震災では、応援要請を受けて行方市下郷町へ物資を送った。坂口市長は「今後も締結先を拡大したい」と述べた。
 災害時の要援護者については、今年4月から登録管理システムが稼働し、5月からは支援モデル地区で市職員による個別の支援プラン作りも始まった。モデル地区はひばりが丘3丁目と泉町5丁目の2カ所で、計10人が対象。危機管理室、障害福祉課、高齢者支援課から職員が1人ずつ出て訪問し、個別プラン作成の目的の説明や聞き取り調査を進めている。
 市長は「対象者は1万数千人いる。こういうところに『公助』を集中させたい」と述べた。しかし、担当部長は「入院中や個人情報を教えるのに抵抗感を持つ人、プラン作成を辞退する人がいて、作成が進行中なのは6人」と答弁し、多くの人力と時間を要するという課題があることを明らかにした。
 災害対応関連では、市社会福祉協議会が昨年度、岩手県陸前高田市に派遣した市民ボランティア延べ77人に呼びかけ、「災害ボランティアグループ」を立ち上げるための懇談会を7月に開いたところ、12人が参加したことも報告された。市長は被災地で活動した経験者を中心にボランティアの受け皿ができたり、現地でのコーディネーターが育ったりすることに期待感を示し、「社協と連携を図り、支援したい」と述べた。
 市によると、社協からのボランティア派遣は今年度、8月下旬から10月20日まで8人ずつ計5回行われる。被災地で円滑に活動できるよう、ボランティア経験のある臨時職員を新規採用し、毎回同行させるという。