西東京市の芝久保公民館は1月19日、同館の30周年記念事業として「地域を考える講座」を開いた。公民館活動に携わっってきたり利用したりしている約20人が車座になってこれまでを振り返り、これからの「地域と公民館」のあり方を語り合った。この日のやりとりを中心とする記念誌を発行するための企画実行委員会も立ち上げた。
講座は2部構成で、第1部は中国琵琶とピアノ伴奏のミニコンサート。日本でも長く中国琵琶の演奏活動などを行っている王暁東(ワンシャオトン)さんが、大震災に見舞われた東北地方の人たちへ応援の気持ちを込めて作ったという曲や「涙(なだ)そうそう」など、アンコールにも応えて10曲を演奏し、1曲ごとに盛んな拍手を浴びた。
第2部は、公民館運営審議会(公運審)委員でもある萩原建次郎駒沢大教授をコーディネーターに、参加者による座談会が行われた。公民館のこれまでをめぐっては、行政改革大綱や生涯教育振興法を契機に「公民館の存在意義が危うくなり、不要とする風潮も出てきた」と危機感を訴える声が上がる一方で、「初期の婦人問題や子育ての講座が公費保育の実現や介護サービス事業のNPO誕生につながっている」「地域に何が必要かの視点が継続され、住民の活動内容も充実している」と自負する意見もあった。
今後のあり方については「中高校生の居場所を考えるには(小学校単位にある)青少年育成会と公民館の連携が重要」「平和、人権など基本的なことを安心して勉強できる場という役割は揺るがせにできない」などの意見が出た。「公民館に熱い思いを持っている人だけで議論して展望が開けるか」との問いかけを受け、萩原さんは「いろいろな人が参加したくなる仕掛けをどう作るかも課題だ」と述べた。
記念誌は4~5月の印刷・製本を目指すという。(下の写真は左から萩原教授、王さん)