「他者のために尽くすとは」 武蔵野大で公開講座始まる

イメージ 1 武蔵野大学仏教文化研究所が主催する聴講無料の連続公開講座64日、武蔵野キャンパス(西東京市)で始まった。

 
今年度は「縁起―私と社会と自然と」を統一テーマに全6回。1回目は武蔵野大教授で仏教文化研究所長のケネス田中氏=写真=が「利他行(りたぎょう)―他者のために尽くす仏教精神」と題して話した。
 
 田中氏は「縁起」について、「つながりであり、かかわっていくこと」とし、この日の講座を入門編と位置付けた。
 
 日本仏教は個人的な内面志向が目立つが、自らが悟ること(自利)にとどまらず、他者に教えを施し(法施)、衣食住や病気、心の問題などの世間的な求めにも対応する(財施)のが利他行の意味だと述べた。
 
 田中氏は、現代社会で行動するには仏教に基づく四つの理念を頭に入れておいてほしいとし、「一体観」「行為論」「平等観」「平和観・無暴力」を挙げた。
 
 一体観では、全ての人が一人一人を輝かせることに貢献し、一人は全ての人を輝かせることに貢献していることを仏教の比喩を引いて説明。またオバマ米大統領広島市平和記念公園で演説した内容の一部、「私たちがいかに世界の人々と互いにつながっていて、人類の一員であるのか」を示し、一体観は普遍性を持つと述べた。
 
 ただ一般人の利他行の効果には限界がある。そこで、オウムが翼を池の水に浸し、そのしずくを山火事に注いで仲間たちを救おうとした説話のように、「微力でもできることをコツコツと実行し、世の中になにか恩返しするのも利他行」と説いた。
 
 会場には約270人が訪れて満席となり、熱心に聞き入っていた。
 
 次回は7月2日午後1時30分から。テーマは「米国ボルチモア市から福島へー日本の原発問題に関わって仏教徒になったアメリカ人」。講師は国際仏教交流センター研究員のジョナサン・ワッツ氏。